地震等災害時の心理、正常性・同調性バイアスや凍りつき症候群

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災害時の心理

災害は突然やってきます。

考えてもみてください、あの日あんな大地震が起きて、大津波が人や家や街を飲み込むなんて誰が思ったでしょう。
そう、3.11、東日本大震災です。
大地震の後に津波が来ることは、地元の人なら誰もが知っていたはずなのに、予想をはるかに超える10メートル以上の津波の襲来は想定をはるかに上回りました。
結果、残念なことにとても多くの方が命を落としました。

その後も熊本や鳥取など未知の断層により各地で大きな被害をもたらす大地震は起きています。
東海地震や南海地震、更に東南海を含めた連動型の巨大地震や、東京を中心とした首都直下型地震も近い将来の発生が懸念されています。

地震ばかりではありません、台風による豪雨で鬼怒川の堤防が決壊したこともありました。あろうことか北海道が何度も台風に直撃されたりもしました。

日本は地震大国で、ほぼ全国土的にどこにいても地震から完全に逃れることはできません。
また、夏から秋にかけ、毎年のように度々台風にも襲われます。ゲリラ豪雨や竜巻と見られる被害も増えました。

つまり、誰もがいつ災害に襲われないとも限らないのです。

しかし、その備えや心構えができているかと言われれば、必ずしも万全とはいえません。万全どころから、ほとんど出来てないとさえ言えるでしょう。

人間は心身ともに突発的な災害への備えに難がある生き物です。その辺が野生の動物とは違います。とにかく不意打ちにめっぽう弱いのです。
それにはいくつかの論理的な理由があるのですが、その辺りを考察しつつ、災害への備えを今一度考えていきましょう。

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災害時、正常性バイアスが危険を無視して判断を鈍らせる

人間は、本質的に安心を求める生き物です。
そのため、何か異常を感じても、なるべく「正常だと思いたい」ことから危険を無視してしまうことがあります。
これを「正常性バイアス」といいます。

「正常性バイアス」は、normalcy biasともいい心理学の用語です。社会心理学や災害心理学だけでなく、医療用語としても使われます。

簡単にいうと、予期せぬ出来事に遭遇した際に、それは「ありえない」という先入観により、その事象が正常の範囲であろうという偏見が働くんですね。
この偏見がバイアスであり、正常な範囲であると思いたいことから、「正常性バイアス」といわれます。

特に、徐々に進行するような危険に対して気づくのがことのほか鈍く、本来優先すべき「安全」よりも、心の偏見が生み出す「安心」を優先させてしまいます。
その結果、何もしないでいる間に災害に襲われ、ようやく事の重大さに気付いた時には既にタイミングを逸していて、逃げ遅れてしまう… そういうケースが少なくありません。

これを防ぐには、人間には元々そういう性質、つまり危険に対する感度を下げる「正常性バイアス」という心の特性が備わっていることを自ら認識し、その上で、災害に殊更敏感に対応できる感性を磨くことがなにより大事です。

遭遇しつつある災害に「ありえねぇ!」ではなく「マジやべぇ!」という感性。
もし仮にそれで何も起きなければ、それに越したことはないのであって、用心してし過ぎることはないのだから、常に災害を察知し、危険が及ぶ前に逃げるなどの正しい判断ができることが求められます。

災害が迫っても周囲の行動に影響される同調性バイアス

人間は社会的な動物です。
生まれた瞬間から社会の中で育てられ、時に協力し合い、時に競争しながら、常に社会という集団の中で暮らし、社会性が育まれています。

しかし、この社会性が災害時に災いすることがあります。
それは何かというと、「周りの人が動かないのだから大したことないんじゃね?」という心理が働くことです。

自然界にも社会的な動物はいます。しかし野生動物の場合、一頭が異常を察知すると集団の全体に伝播し、全ての個体がいっせいに行動を起こします。

これが人間だと、まずは先述の「正常性バイアス」が正しい判断を鈍らせ行動を遅らせます。
それを見た周りの人も「大丈夫じゃね?」って行動しない。
その行動しないのが周りにどんどん伝播し、今まさに遭遇しようとしている危険を避けられなくなってしまう… これが「同調性バイアス」です。

同調性バイアスに絡め取られないようにするには、危険を感じたらまずそのことを周囲の人にも伝えます。
正常性バイアスに支配され、更に同調性バイアスで動かない人は逃げ遅れるリスクが高いでしょう。
必死で危険を伝えても周りが動かないのなら仕方ありません。その場合はたとえ自分ひとりだけでも避難を始めることです。

いざという時に動けない凍りつき症候群

大きな災害に直面した時、人はパニックに陥る。
そう考える人は少なくありません。
実際、パニック映画など見ると、大きな災害を前に、人々がヒステリックに逃げ惑う様が描かれています。
つまり、パニックとは、理性を欠いた集団の逃走行動に他なりません。

しかし、実は災害時に大規模なパニックが起こることはほとんどありません。
むしろ、それとは逆で、心身ともに凍りついて動けなくなってしまうことが多いんです。
あまりに悲惨で非現実的な様子を目の当たりにすると、頭の中が真っ白になって動くこともままならないのです。

この症状を「凍りつき症候群」といいます。

緊急で危険が迫っているときに、この「凍りつき症候群」のために動けず、避難や脱出が出来ずに命を落としてしまう人がいます。
凍りつき症候群に陥っている人がいたら、とにかく声をかけ励まし、何とか我に返らせて、無理矢理にでも避難をさせなければいけません。
差し迫った緊急性にもよりますが、それでも動けない人はどうするか… 極限までできる努力をして担いででも避難しますが、双方ともに命を落とすような事態は避けたいものです。

まとめ

災害時にきちんと逃げるのは、平常時にただ想像するのとは違って簡単ではありません。
なにしろ、人間の心理には色々と特徴もあり、危険の迫り具合に比例して対応する臨機応変さに欠けています。
災害時の人間の心理を十分に理解して、普段から有事に正しく逃げるイメージトレーニングをしておくことは大切です。

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