コミュニケーションによる疎外感は「聞く」を重視しない結果!?

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コミュニケーション

満たされないコミュニケーションは、ある種の「疎外感」を生みだします。

ではその「満たされないコミュニケーション」は何に由来するのでしょう。

それは相手が「聞いている」ようでいて、実は「聞いていない」ということに起因します。

相手が「聞いていない」と言いましたが、同時に実はあなたも相手の話を「聞いていない」可能性は濃厚です。

「うそっ、ちゃんと聞いてるよ!?」
そう言うかもしれませんが、実は案外聞いていないものです。(聞いてない理由は後述します)

双方向のコミュニケーションにおいて、「聞いていない」とはどういうことか?
その辺を考察することで、疎外感が生まれる背景が分かるかもしません。

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コミュニケーションにおける聞くということ

コミュニケーションは、ご存知の通り「言葉のやり取り」です。
したがって、一方が話しているとき、もう一方はその話を聞く側に回ります。

話の内容はどうあれ、コミニケーションを交わすということは、一方通行ではなく双方向。
当事者のいずれも「話し手」と「聞き手」の両方の役割を担うことで成立します。

コミニケーションが双方向で行われるなんて、当たり前の話じゃないか!って思うでしょう?
しかしながら、その当たり前のことが、実際には案外行われていないことに問題があります。

というのも、コミニケーションの原則から言うなら、一方が話しているときには、当然もう一方はその話を聞いている。
そうあるべきはずなのに、実はそれが聞いてない…。

いや、もちろん「聞き手」本人にしてみれば聞いてるつもりだろうし、実際、顔やそぶりを見てみても、いかにも聞いているような感じがします。
しかし… 実態は聞いてない。

いやいや、私は聞いてるし、そんなの当たり前じゃないか。
それに、聞いてないって、それじゃ相手が話してる間、いったい何してるって言うんだい?

って思いますよね。
たしかにそれはそうなのですが、実態は聞いているような顔をしながら、実は「次に自分が言うこと」を考えているのです。

もちろん、相手の話は聞こえています。
そしてまるっきり理解していないわけでもないし、右の耳から入って左の耳から抜けていくだけというのでもありません。

それが証拠に相槌も打てばうなずきもする、ときには「うんうん」「なるほど」など合いの手を入れることもあるでしょう。
だけど、それでも聞いてない。

聞き手の頭の中は、次に「自分が何を話すか」ということでいっぱいなのです。
だからまるで聞いてないわけじゃないけど、脳がタスクを50%50%でこなしているわけではなく、次に自分が話すことを考えるのに80%以上使って、残りの20%以下で聞いている状態。

これではとても「聞いている」ということにはなりそうもありません。

そして、相手の話が一段落し、いよいよこちらが話す番が回って来て、満を持して話し出すと…
今度は相手、つまり、先ほどまでの話し手であり現在の聞き手は、さも話を聞いているかのような顔をしながら、実は先ほどまでの聞き手と同じように「次に自分が言うこと」を考え始める…。

これが、ほとんどの場合のコミュニケーションの実態です。

本来のコミュニケーションは、言葉をキャッチボールしながら紡いでいくものですが、ただ言葉が途切れないようにしているだけというケースが多く見られます。
なぜなら、言葉が途切れてしまうと、言いようのない気まずい沈黙がその場を覆うので、それを恐れる傾向が強いからです。

そのため、本来は、「話し手」「聞き手」「話して」「聞き手」… と進むべきコミュニケーションが、話し手、話し手、話し手と、ただ、話し手だけが続き、聞き手のいない空しいものとなるのです。

こんな状態ですから、いくら話しても、心の底から「聞かれた」「聞いてもらえた」という感覚は残りません。
そこに疎外感が生まれます。

もっとも、この辺は個人個人のデリカシーの問題もあるので、そもそもそういった感性に鈍感な人もいて、空しいコミュニケーション自体理解できない、理解以前に感じないということもあるでしょう。

だけど、コミュニケーションに、得も言われぬ空しさを感じたことがあるあなたなら、上記のことから「聞く」ことの大事さを学ぶ必要を感じるに違いありません。

といっても、相手が著しくコミュニケーション能力に欠けていれば、それもまた空しい努力に過ぎないのですが、それでも、「聞く感性」を磨き、「聞く力」を養っておけば、いつか本物のコミュニケーションをするときが訪れても、引けを取ることなく、存分にコミュニケーションが楽しめるはずです。

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聞かないことによる疎外感や弊害

ここまでの話では、コミュニケーションにおいて「聞く」ことの大事さをお伝えしました。
しかし、一般には「聞く」ことより「話す」ことこそ大事なコミュニケーション能力と捉えられています。

誰もが恐らく「良い話し手」になりたいと感じるでしょうが、「良い聞き手」になりたいと思う人は少数でしょう。
カウンセラーでもない限り、聞く能力などということには意識さえ向きません。

対して「話す能力」に長けていれば、例えばプレゼンが上手だったり、説得力があったり、何より豊富な話題と巧みな話術で相手を飽きさせないといった魅力あふれる存在になれますから。

もちろん、先述の通り、コミュニケーションは言葉のキャッチボールなのだから、「聞き上手」も全く意味がないこととは思わないものの、いざ、コミュニケーションの段になると、やはり聞くことよりも話すことに注意が向いてしまうのは否めません。

こうやって、ほとんどのコミュニケーション(と称されるもの)は、聞き手不在の状況で進行します。
互いに「話し手」「聞き手」を交互に担う役割を持ちながら、実際は「聞き手」に価値を見出す人は極めて少ないので、「話し手」vs「話し手」になってしまうのが現実。

しかし、聞かないということは、話し手の存在が限りなく消えてしまうことになりかねません。
だって、話しても話しても聞かれないのなら、話すこと自体が意味を為さなくなりますからね。
つまり、「聞かない」のは「話し手」の否定、あるいは無視、もっといえば抹殺といってもあながち間違いではないでしょう。

そうやって、「聞かれた」「聞いてもらえた」感は薄らぎ、やはり疎外感が生まれるのです。
と言いつつ、恐らくはあなた自身も「聞いてない」でしょう。そして聞いてほしいなら、あなたも聞かなくてはいけません。

職場にしろ学校にしろ、あるいは家庭内でさえ、あなたは「聞かれてない」し、同時に「聞いていない」はずです。
漠然とした言いようのない空虚な感じは、それに気づいたことによる疎外感の始まりかもしれません。

時間の縛りもなく、途中で口を挟まれることもなく、心ゆくまで自分の話を最後まで聞いてもらえた経験を持つ人は稀でしょう。
その逆に、誰かが話すことを最初から最後まで、一切さえぎることなく聞いてあげたことがある人も稀なはず。

なぜなら、世間は絶えず気忙しく、誰もが時間に追われ、個人の胸の内などより優先すべき事項が山積しているからです。
だからよほどのことでもない限り、相手の話に集中したり耳を傾けるといった「習慣そのもの」がないんですね。

そういうことが子供の頃から始まっていることも大きな問題です。

家庭や学校において、子供は親や先生にほとんど話を聞いてもらえません。
聞いてもらえることといえば、それは親や先生が興味を覚える「勉強のこと」「成績のこと」「将来の進路のこと」くらいでしょうか。
本当はもっと聞いてほしいことがたくさんあるのに…。

それは、「交友関係」かもしれないし「異性に対する悩み」かもしれないし、はたまた「いじめ対するSOS」かもしれない。
しかし、子供の話術は拙いので、うまく話せないうちに親や先生が聞くことを放棄してしまっている可能性は否定できないでしょう。

また、コミュニケーション不足で破綻する夫婦によくありがちなのが、奥さんが旦那さんに「聞いてもらえない」というもの。
奥さんは聞いてもらえない積年の恨みが爆発して行動に出ますが、旦那さんはそんな奥さんの胸中を露ほども知らずに「聞かない」生活が続いてきました。

破綻に瀕して、「そんなことならもっと早く言ってくれればよかったのに…」と語る旦那さん。
でも、奥さんは早い時期からずっと聞いて欲しかったし、何かアクションでも起こらないと、旦那さんは奥さんの話など聞けなかったのでしょう。
人は、よほどのことがない限り、相手の話を聞きません。そしてよほどのことが起こってからでは大概のことが遅すぎるのです。

このように、「聞く」ことを怠るのは怖い結果を招く危険性をはらんでいます。
聞いてもらえないことの疎外感は深刻で、こうしてみても「聞く」ことの大事さが分かるというものです。

まとめ

コミュニケーションは、「話し手」と「聞き手」のキャッチボールで成り立つものです。
そして、双方が「話し手」と「聞き手」の両方の役割を担ってこそ成立するのは言うまでもありません。
双方が「話し手」として互いにずっと話していては成り立たないし、双方がずっと聞く姿勢だけを示していたのではコミュニケーション自体が始まりません。

そんなコミュニケーションですが、案外「聞く」ということをおろそかにしているというか、「聞く」ことが出来ていないことを記してきました。
しかし、コミュニケーションにおいて「聞く」ことは非常に重要です。

話す能力の陰に隠れて、一見地味な聞く能力ですが、聞き上手こそ本当の意味でコミュニケーションの神髄なのです。

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