相続時精算課税で生前贈与するメリットデメリットと税金

公開日:  最終更新日:2015/02/27

生前贈与

親が高齢になるにつれ、打算や思惑は別として相続ということを意識するようになるものです。
それは決して悪いことではなく、資産が多くても少なくても事前に対策を練り方法を模索しておくことは決して悪いことではありません。

推定相続人が複数いる場合や、またその関係が円満か否かによって、相続は時に「争続」になることもあります。
そうでなくても親の意に沿わない相続が行われることもあるかもしれません。

そこで親は自分の意思通りに遺産を分配するために生前贈与を決意したとします。
(他に遺言という方法もありますが、ここでは触れません。)

ところで、贈与といえば税金が高いですよね。
実際に税率を知らなくても、イメージとしては「税金が高い」というものでしょう。
せっかく資産を譲り受けても高額な税金を持っていかれたのでは得策とも言えません。
ましてやそれが現金ではなく不動産等の場合、直ぐに資金化できないこともありますからね。
納税で困ることもあり得ます。

そこで選びたいのが「相続時精算課税」です。

イメージとしては相続と贈与の中間。
「生前贈与を受けたけど、親が亡くなって相続が発生した時に精算するね?」
といった感じでしょうか。
そう聞くと、ちょっと良さそうに思えませんか?

まぁ「この相続時精算課税」、メリットもデメリットもあるのですが、推定遺産が比較的少ない場合にはメリットの方が多い印象です。

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生前贈与を受けた場合の相続時精算課税とはそもそも何?

ちょっと乱暴な言い方ですが、将来の相続を仮定して、それを前倒しして贈与を受けて、その贈与税を支払うという感じです。
贈与である以上税率は安くありませんし、実際に贈与税を納期までに収める必要があります。
ちなみに税率は20%で、一般の贈与に比べて低く設定されています。

ただし、贈与者(この場合は親としましょう)が亡くなった際には、贈与財産を含めた全体の相続財産に基づいて相続税を計算し、
確定した相続税と贈与を受けた際に既に支払っていた贈与税との差額を支払う(もしくは還付を受ける)というものです。
つまり、相続時精算課税に基づいて支払った贈与税は、言ってみれば「相続税の仮払い」のようなものとイメージすると分かりよいでしょう。

「なぁんだ、結局は高い贈与税を支払うのか…」

と思うかもしれませんが、贈与される金額もしくは資産がそれほど高額でない場合は有利な手法です。
以下でご説明しましょう。

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相続時精算課税のメリット・デメリット

先にメリットを挙げますが、2,500万円までの贈与には贈与税がかからず(ここポイント)、2500万円を超える部分にのみ20%の贈与税が課されます。
つまり、贈与が2,500万円までなら税金は収める必要がありません。
つまり税金は取られないのです。
また、贈与財産の種類、金額、贈与回数、年数等に制限は一切ありません。
何を何回でも、それが何年にわたってもOKということです。
ただし、前述の通り2,500万円を越した分については20%の贈与税がかかりますので、そこは誤解のないようにお願いします。

相続時精算課税は、推定相続資産がそう多くない、極論すれば2,500円以内の場合はかなり使い勝手の良いものといえるでしょう。
なにしろ、課税されない非課税の額が2,500万円もあり、超えた分も相続税で再計算されるため、相続税の節税対策にこそなりませんが、早期に(生前に)多額の財産を移転できるのですから。

デメリットとしては、一度相続時精算課税を選択すると、二度と暦年課税(毎年110万円までは申告不要・贈与税がかからない)に戻せないということが挙げられます。
ただ、暦年課税に関しては遺言同様ここでは記しませんので、前述の通り資産の総額が2,500万円以内とかその辺りの人にとってのメリットを強調しておきます。

また、仮に贈与財産が不動産だった場合、不動産取得税と登録免許税の税率が相続に比べて不利になります。
不動産取得税は相続の場合が非課税なのに対して、相続時精算課税による贈与では3%かかります。
また、登記の際の登録免許税が相続では0.4%なのに対して、相続時精算課税による贈与では2%かかります。
これらも資産が大きくなればなるほど負担がきつくなってきますが、2,500万円近辺の場合は目くじら立てるほどの違いは感じないでしょう。

相続時精算課税の適用条件と申告

相続時精算課税を利用するには、贈与する側(贈与者)とされる側(受贈者)に条件があります。
贈与者(あげる人)は60歳以上の親または祖父母、受贈者(もらう人)は贈与者の推定相続人である20歳以上の子または孫に限られます。
また贈与者毎に適用することが可能で、例えば父からは暦年課税、母からは相続時精算課税などそれぞれから違った形で贈与を受けることもできます。

申告は、贈与が行われた翌年の3月15日までに贈与税の申告をする必要があります。
これは金額の多寡にかかわらず必ず行う必要がありますので注意してください。

まとめ

2015年1月より相続税も控除される金額が下がり、都市部では相続税を課される人の割合が増えたといいます。
今までは相続税は他人事と思っていた人にも相続税が課されるケースが想定され、安閑とはしていられないでしょう。
それにともない、今後は相続ならぬ「争続」が増えることも予想されます。
先に旅経つ親にとって、子供同士が遺産で争うのは考えたくないものです。
そう考えると生前贈与は良い選択と言えるかもしれません。
ただ、贈与は税率が高いので、条件にハマるならぜひ相続時精算課税を利用しましょう。

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