冤罪で、もし痴漢で逮捕されたらどうなる?起訴?それとも…
最近は、痴漢で逮捕されたというニュースを多く見かけます。
被疑者が先生だったり警官だったり、いわば人を指導したり取り締まる立場の人が行為に及んで逮捕された際に実名入りで報道されます。
他にも要職についている公務員や僧侶、あるいは裁判所の職員なども実名入りで報道されます。
「そんなに痴漢って多いのか…?」と驚きますが、一般の会社員程度だと報道されないことを考えれば、痴漢で逮捕される人の数は、実際にはもっとはるかに多いのでしょう。
で、たまに裁判で無罪になる人がいますよね?
そういう人は一貫して無罪を訴え続け、起訴されて長く拘留されても、負けずに裁判で無罪を勝ち取り、ようやく地位を回復した勇気ある人たちです。
ある意味他人事ですが、こういった冤罪で逮捕されるということが、ニュースの世界だけではないことも覚えておかなければいけません。
つまり、いつあなたが冤罪で逮捕されないとも限らない!
そういうことです。
実際満員電車に乗っていれば、誰でも痴漢を疑われるケースに遭遇し得ます。
知人の男性は、満員の暑い車内で汗を拭こうとズボンの後ろポケットからハンカチを出した際、手の甲が後ろに立っていた女性の臀部に当たっただけで疑われたそうです。
それ以来というもの彼は、必ず両手で吊革や握り棒を持っているとか。
両手が上に上がっていればさすがに疑われませんからね。
まぁ、こういったケースはそう多くないのかもしれませんが、あなたが絶対に遭遇しないとも限りませんよね?
最近は痴漢は見逃さず罰するという傾向が顕著で、女性も泣き寝入りをしませんから、何かあればすぐに逮捕されてしまいます。
いいですか?逮捕ですよ!
真面目に働いていても、ある日突然逮捕されて被疑者扱いされたらどうします?
ここではそうなった場合、あなたはいったいどうなってしまうのかを解説します。
やってないのか?やったのか?
本当に「やっていない」のか、それとも実は「やった」のかです。
と、その前に、痴漢で逮捕される人が最も多いのが月曜日の朝だそうです。
そういう趣味のない人には週明けの、それも朝から痴漢なんて信じられませんが、そういう趣味のある人は週末の休みでムラムラが溜まったんでしょうね。
それで月曜の朝に行為に及んで逮捕されるわけですが、逮捕されればその日は会社に行けません。
結果、無断欠勤。
子供じゃないんだから無断で休んじゃまずいですよね。
でも警察は逮捕して直ぐに自宅や会社に連絡などさせてくれませんし、してもくれません。
定時を過ぎても出社しないと、会社も心配して自宅に電話をするでしょう。
そこで何も知らない奥さんは、夫が会社に行ってないことを初めて知らされるわけです。
心配でしょうし、誰に相談したものかとかなり動揺するはずです。
一方、当の本人も逮捕されて気が動転しています。
家庭のこと、妻のこと、子供のこと、会社のこと、そういった諸々が頭の中でぐるぐると渦を巻き、なんとか家族に連絡をとろうと警察官に頼みますがそれは叶いません。
まずは指紋を採取され、その後に取り調べが待っています。
で、ここで話を戻して「本当にやっていない」のか、それとも「本当はやった」のかで、その後のあなたのとるべき道が違ってきます。
どの道その日は家に帰れません。
中には稀に帰れる人もいますが、まず帰れないと思っておいた方がいいでしょう。
留置場で最低1泊です。
さて、もし「本当はやった」のなら、取り調べでは早めに認めるべきです。
「やった」のに「やってない」とつっぱり通すと深みにはまります。
刑事も甘くないなので、痴漢なんて小物は最後には必ず落ちます。
もしやったなら、そういった無駄なつっぱりで時間を無駄にせず、いち早く認めるに限ります。
そうすれば次の日には検察に身柄を送られ、検事の取り調べの後に罰金を払えば帰れるでしょう。
帰っても帰ったで、まぁ針のむしろというか、奥さんや子供にどの面下げて会えばいいとか、会社に対する言い訳とか、悩みは尽きませんが…。
だから釈放されても喜んでばかりはいられないわけです。
ところで、先述の罰金ですが、これも再犯を重ね、逮捕歴が増えるほどに高額になっていきます。
そしていつか罰金ではなく起訴されますからご注意あれ。
起訴されても最初は執行猶予がつくでしょうが、先述の罰金が上がっていくのと同様、それでも懲りずに再犯を続ければ次は実刑です。
それもその前の執行猶予が取り消され、刑期は以前のものと合算されて懲役に行くことになるので悲惨です。
痴漢など体を賭けてやるほどの価値はないでしょう?
それにいち早く気がつくべきです。
次に「本当にやっていない」ならどうするべきでしょう。
これは難しいところです。
なぜなら、本当はやっていなくても「認めれば」先述の「やった」人同様に罰金を収めれば早期に釈放されるからです。
「やっていない」のに「やった」なんて普通はとても言えませんよね?
だってやってないのに逮捕された上、それを認めるなんて著しく正義に反するし、どうにも釈然とせず腹が立つでしょう。
でも嘘でも「認めれば」帰れるという甘い誘惑に心は確実に揺れ動くはずです。
また、刑事も
「認めれば早く帰れるんだよ?」
「認めないといつまでも帰れないよ?」
と揺さぶりをかけるはずです。
そこでどうするか…?
これに答えはありません。
正義を貫く
やってないものをやったなんて認める訳にはいかない!
これが本来あるべき真理です。
本当にやってないのなら「冤罪の被害者」ですから、立ち向かい戦うのが筋というもの。
そしてそれが真の正義ですから、正義は勝つべきです。
しかし、かなりの勇気も必要です…。
そして、認めなければほぼ確実に起訴されます。
そうなると拘留は長期に及び、否認していれば保釈も難しいかもしれません。
結局裁判で白黒つくまで拘留されることになるはずです。
その間、「もしも容疑が晴れなかったら自分はどうなってしまうのだろう?」と不安に苛まれる日々が続くでしょう。
本当に辛くて長い拘留生活に心身共に痛めつけられます。
それでも、もし正義を貫き通して戦うなら、まず何より大事なのは家族の信頼を得ることです。
奥さんに信じてもらう、お子さんに信じてもらう、それが何より大事だし、戦っていく上での心の支えとなるでしょう。
無実を訴え戦う上で家族の信頼と支えほど心強いものはありません。
それと、なるべく早期に刑事専門の弁護士を付けることです。
国選の弁護士などではなく、私選の弁護士に依頼しましょう。
そういったことは留置担当の警察官も手助けしてくれます。
刑事や検事は敵に思えても、留置担当の警察官は事件そのものには関わっていないので、ある意味「公平」です。
早急に弁護士を呼んでもらって接見し、自らの潔白を理解してもらうと共に、今後の方針や戦い方を相談し、家族の支えにもなってもらいましょう。
逮捕後に待ち受ける一連の流れと起訴
逮捕されると最寄りの警察署に連行され、指紋を採取された後、ひとまず拘留の手続きを行います。
その後、刑事による取り調べが行われます。
逮捕には最長72時間という時間の制限があります。
警察は72時間を超えて、被疑者を逮捕することはできませんので、この72時間の間が被疑者にとっても警察にとっても最初の山場となります。
その72時間の間に被疑者の身柄は検察へ送られ、検察官の面前で「やった」と認めれば、罰金を収めて釈放されます。
(簡潔にするため詳細は割愛しています)
「やっていない」と無罪を主張すれば、高い確率で検察官は裁判官に対して拘留請求を行い、ほとんどのケースで拘留が認められます。
そして逮捕から拘留へと形が変わり、最初の10日間が始まります。
その10日の間、警察で取り調べを受け、10日の期限が近づいた頃に再び検察へ送られ検事による取り調べを受けます。
無実を主張していれば拘留を10日間延長されるか、起訴されるでしょう。
起訴猶予や嫌疑不十分で釈放されるということはほとんど期待できません。
その段階で起訴されず拘留が10日延長されれば、その間にまた警察による取り調べが行われ、また10日間の期限が近づくと検察に送られて検事の取り調べを受けます。
そして、今度は拘留の延長はもうありませんから、起訴か釈放のいずれかです。
現実は、高い確率で起訴されるでしょう。
起訴されれば次は裁判が待ち受けています。
また、起訴されれば、基本的に身柄を警察署から拘置所へと移されます。
ここまで来た人は「やっていない」のだから無罪を主張しているわけです。
無罪を主張しているのだから、執行猶予付きの有罪は論外です。
そうなると、裁判はどのくらいの期間に及ぶか分かりません。
というのは、無実が認められて一審で無罪を勝ち取れればいいのですが、もしも一審で敗れれば控訴するということになるでしょう。
二審でも敗れれば上告までするのかもしれません。
また逆に無罪を勝ち取れた場合、検察が控訴することも十分考えられます。
この場合は、一審で無罪なので、釈放された上で二審を戦うことになります。
もしも二審で敗れれば再度拘留されてしまいます。
そうなれば次はもう上告しかありません。
被告にしても検察にしてもどちらからでも上訴できる以上、裁判の行方は分からないのです。
そして上告審でもしも敗れれば、執行猶予の付かない実刑かもしれません。
(もちろんつくかもしれません)
でもどこまで行っても正義が貫かれ、そして正義は存在すると信じたいものです。
まとめ
痴漢の冤罪は決して他人事とも言えません。
毎日満員電車で通うサラリーマンは、ある意味誰でも遭遇する可能性を秘めているとは言えないでしょうか…。
もしもあなたがそういう目に遭ったときに、多少でも予備知識があれば対処の仕方も違ったものとなるでしょう。
法律を学び、多少なりともたずさわった者として、この記事が何らかの形で役立つことを願ってやみません。
もちろん、冤罪事件に巻き込まれないのがベストですが…。
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