土用の丑の日!鰻の蒲焼は関東と関西でどう違う?なぜ違う?
土用の丑の日といえば鰻です。
鰻といえばなんといっても蒲焼。
あの香ばしい香りがたまりません。
もう匂いだけでご飯が食べられそうですよね(笑)
ところでこの鰻のかば焼き、関東と関西では調理法に違いがあります。
調理法が違うので、仕上がりも食味も異なります。
どちらが好みかは、出身地や好みで各人分かれるところでしょうが、なぜこんなに調理法が違うのか?
その辺を追及してみました。
鰻のかば焼き、関東と関西のさばき方の違い
関東と関西では、まず「さばき方」が違います。
関東では背開きにするのに対して、関西では腹から開きます。
これには諸説あります。
サムライ文化の根強かった関東では、腹から開かず背開きにした理由は、腹を割くことが「武士の切腹」を思わせ、それを忌み嫌ったためという説があります。
鰻を開いて蒲焼にして食するという文化は江戸時代あたりからということなので、なるほどとうなずける説ではあります。
対して、単純に背開きの方が楽だったからという説もあるんですがね(笑)
対して関西は商人の街。
商人中心の文化が栄えていたので、商いは「腹を割って話しまひょか?」ということから腹開きになったという説があります。
説は色々ありますが、実際に背開きの方が楽なんだとか…。
背びれも簡単にとれるし、鰻があまり暴れずに調理しやすいというのはあるようです。
鰻のかば焼き、関東と関西の焼き方の違い
次に鰻の焼き方ですが、これも関東と関西では大きく違います。
関東では、開いた鰻を一旦白焼きにして、その後に蒸します。
蒸しあがった鰻を再度焼くわけですが、この段階であの旨そうなタレをくぐらせて香ばしく仕上げていくわけです。
対して、関西では、開いた鰻を蒸さずに焼きます。
蒸す行程がないためかどうか、どちらかというと小ぶりな鰻を使うことが多いですね。
蒸すと小骨が柔らかくなり、最後の焼き上げ時にもふっくらと仕上りますが、関西は蒸さないことから小ぶりの鰻をつかうのでしょう。
蒸さずにいきなり焼きますから脂の乗った状態でパリッとしてとても香ばしく仕上ります。
蒸さなくても小骨を柔らかく焼くのは職人の上の見せ所なんだとか。
ちなみにこの「蒸す」行程があるかないかが、関東と関西の違いを際立たせていると思います。
腹から割くか、背から割くかは、食べる方にとってはそんなに違いがありません。
それより「蒸す」か「蒸さない」かで食味が全然異なりますのでやはり一番の違いはこれでしょう。
この「蒸す」というプロセスがなぜ出来たのかにも諸説ありますが、蒸すことで小骨が柔らかくなるので、ある程度大きな鰻も調理できるという説があります。
また、鰻の泥臭さが消えるからという説もあります。
他にも、忙しい江戸の町で客を待たせずどんどん回転させるために、白焼きまでは仕込みとして済ませておいて、それをセイロで蒸しておけば、あとはタレをからめて焼くだけなので、客の回転率を上げるために蒸しておいたなんて説もあります。
(これが案外正解だったりして…笑)
要はコンビニの肉まんのように温めておいて、あとはタレをからませ焼くだけですもんね、これなら客をどんどん回せるかも(笑)
まぁ、こう考えるてくると、小ぶりの鰻を主に使う関西に対して、少し大ぶりの鰻も使う関東という感じですが、関東の方が昔は鰻の生育が良かったのでしょうか?
それとも、関西人は小ぶりの鰻を使うことに粋を感じていたのでしょうか?
はたまた関東人は、蒸すという一手間かけることに粋を感じていたのでしょうか?
あるいは、先述のように商売の効率の問題だったのでしょうか?
なーんて色々考えちゃいますが、そんなことより「蒸す」というプロセスが入った方が好きかどうかということになりそうです。
鰻のかば焼き、関東・関西の境界線
おおざっぱに関東と関西といってきましたが、その境界線はいったいどの辺りなんでしょう?
それは、浜松辺りから諏訪湖までの天竜川沿いのようです。
いやぁ、関ヶ原とかじゃないんですね(笑)
上記の、浜松から諏訪湖周辺の諏訪市辺りでは、関東風のお店と関西風のお店が混在しているのですが、これが岡谷市になるともはや関西風になるようなので、境界線は「浜松辺りから諏訪湖までの天竜川沿い」といっていいでしょう。
ふんわりやわらかい関東風の蒲焼と、脂が乗って皮がパリパリに香ばしい関西風の蒲焼が出会う地点♪
ちょっとそそられませんか?
今年の土用の丑の日には出かけてみてもいいかもしれませんね!
でも、遠くていけないけど食べ比べしてみたいなら…
上が関東風のおススメ蒲焼
下が関西風のおススメ蒲焼
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国産鰻・関西風炭焼き・塩分控えめ蒲焼き |
まとめ
管理人の母方の実家は関東圏の旅館でして、昔そこには鰻が大量に飼われており、宴会の時など盛大に蒲焼を作って供しておりました。
厨房でどんどんさばかれていく鰻を見ていたことがありますが、ポンッと目打ちを刺して、スーッと縦に包丁を入れ、瞬く間に身だけになる鰻を哀れにも思ったものです。
でも、それが焼かれ、蒸され、また焼かれ、あの香ばしい蒲焼になっていくプロセスには神々しささえ感じました。
母も鰻職人さながら、どんどん鰻をさばいていましたが、あの腕前は見事だったなぁ…。
鰻が高騰して、庶民には高根の花になってしまった昨今、土用の丑の日くらいは美味しい鰻を食べたいものです。
加工海産物専門の問屋みたいな会社に数年勤めてました
境界線と書いてありますが日本全国概ね背開きが主流かと思います
腹開きなのは関西圏だけではないでしょうか
流通している加工済みの蒲焼とかは国内産、中国産どちらも全て背開きです