家族や親に認知症の疑いや症状がある時の対処や正しい接し方

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認知症

年齢と共に物忘れがひどくなるのは誰にでもよくあることです。
すると家族も本人も「認知症」の心配をするのですが、物忘れがひどくなったからといって、即ちそれが認知症ということにはなりません。

人の名前がとっさに思い出せず「ほら、あの人」とか、何かを思い出せずに「あれ」とか「ほら、あれ」という言葉が増えますが、それらはほとんどの場合ただの物忘れで認知症ではありません。
よくある物忘れは、年齢を重ねていくとどうしても出てくるもので、心配している認知症とは別なものです。

それでは、「認知症」と「物忘れ」の違いはどこにあるでしょうか?

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どの様な症状で認知症の疑いがあるのか?

認知症は最初はゆっくり進行しますから、家族でも気がつきにくい場合があります。
また、ある日を境に完全に認知症になるのではなく、正常さを残ししつつ認知症は進みますので、ほとんどの時間は正常で、時々トリップしているみたないな感じを受けます。
段々と知っている当人とは違ってくるので、周りは寂しさを禁じ得ません。

ではどのような症状が現れると認知症が疑われるのでしょう?

出来事の全部(全体)を忘れたり、判断力が低下すると物忘れの範疇を越して認知症が疑われます。

例えば食事。

夕べ何を食べたかとか、朝食に何を食べたかを忘れるのはただの物忘れですが、食べた事実そのものを忘れてしまうのは認知症の疑いがあります。
そうなると、食べたこと自体を忘れているので何度も食べて激太りしたりもします。
逆に、食べること自体を忘れてしまうと飢餓状態に陥ることもあります。

また、味付けを甘くしたいから「塩」を入れなければと考え、塩を大量に入れるなど、根本的に間違った判断をしてしまうのも認知症が疑われます。
この場合、甘くしたいなら「塩」ではなく「砂糖」であるべきところ、何の疑いもなく塩を選択した時点で根本的な判断の誤りがあります。
尚、上記のケースは、砂糖も塩も色が白いことと、見た目が似ていることによるただの見間違いを指しているのではありません。

物忘れをしたときに自覚がなかったり、物を忘れた時に「ありえない発想」をしてしまうのも認知症独特の症状です。

誰でも気づくような大きな物忘れをしたのに、物忘れをしたこと自体に気がつかないのは認知症の可能性があります。

また、物をしまった場所を忘れたり、どこかに置き忘れたりするのは、ただの物忘れの範疇なので心配には及びませんが、物が見つからない時に、特に探してみることもせず、あるいは失くしたとも思わず、誰かに盗まれたなどと強く思い込んで、疑心暗鬼になったり攻撃的になったりと被害妄想になるのは認知症の症状です。

その他、季節や曜日、時間の観念がなくなったり、現実にはありえないような作り話をするのも認知症の症状です。

こうなると、夏に冬物を着て出かけたり、その逆に冬に夏物を着て出かけたりしますので、夏は熱中症の危険があり、冬は風邪をひいて他の病気を誘発するケースもあって危険です。
また、時間の観念がなくなることで、深夜や未明に電話をかけたり出かけたりするようになり、家族や近所に迷惑がかかることがあります。

作り話の症状も認知症独特のものですが、全くの空想に近い害のない作り話から、自分の過ちを正当化するために、現実にはありえない言い訳を仕立て上げて自分の判断が正しいことを取り繕おうとする作り話までケースバイケースで色々です。
いずれの場合も、周りが否定するとかなり攻撃的になるのが特徴です。

認知症に対する対処

もしもこれを読んでいるあなた自身がご自分の認知症を疑っているなら、あなたに認知症の症状はないと判断していいでしょう。

なぜなら、認知症になるとあらゆる自覚症状がなくなるか、極端に乏しくなるので、自分が認知症かも?なんて思って検索したりはしませんし出来ません。
それに、そもそもPCが使えなくなります。
また、得られた情報を取捨選択し、その中から自分で適切な情報を抽出するといったような高度な行動は不可能になります。
故に、あなたは認知症ではありません。

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また、ご家族や親御さんが認知症の症状が疑われ、心配なさっているということなら、なるべく早く医療機関に診察に連れて行ってあげてください。
なぜなら「人からよく物忘れを指摘される」という人の方が、認知症と診断されることが圧倒的に多いからです。
つまり周りの人が先に認知症では?と気がつくということなんですね。
自分で「物忘れが気になる」という症状を訴える人の大半はただの物忘れにすぎず、認知症ではありません。

認知症は(現在)完治させることはできませんが、進行を遅らせることはできます。
そのためにもはやり早期に対策をとるべきで、そのためには家族が認知症に対して正しい知識と理解を持っておく必要があります。

家族や親に認知症の疑いや症状がある時の接し方

認知症の人の行動は、はっきり言って意味不明で奇妙、健常者からすると注意してあげる・あげたくなる要素に満ちています。
というより、注意したくなることばかりで、注意しても絶対に聞き入れてくれないので段々腹が立ってきます。

でもそこで叱ってはダメなんです。
叱ったり怒ったりすると、認知症は加速度的に進行し症状は悪くなります。

家族が認知症になったとき、認知症になった当人が初体験なのは当たりまえですが、周りの家族も認知症の人に接するのは初めてというケースが多いものです。
そうすると周りの家族が認知症の知識も認知症に対する理解もないため、つい健常者の尺度でものを考えてしまいます。
そして「どうしてこんなことも出来ないの?」「どうしてこんなことが分からないの?」となってしまうのです。

しかし、認知症を患った当人にしてみれば、認知症であるがゆえに、何を言われているのか分からずに、ただ攻撃されている気がして、どんどん脳を閉じて行ってしまいます。
それで症状が加速度的に進んでいくわけです。

家族にしてみても良かれと思って叱っています。
だから一概には責められないのですが、その叱責により、認知症が進むのは間違いありません。

認知症の人は、ある段階まで自分の異変に気がついているようで、正常なこっちの世界と、ちょっとトリップしたあっちの世界(あの世ではありません)を行き来しつつ、段々あっちの世界にいる時間が増えて、いつしかあっちの住民になってしまう、そんな気がします。

そのように正常な時もあるからこそ周りの家族は余計に難しいのですが、認知症の症状が現れ、疑わしいと思ったら、変なことをしても咎めたり叱ったりしないのがベターです。
なぜなら当人にしてみれば、こちらが発する注意が全く理解不能なのと、ただ攻撃されていると感じているだけだからです。

周りの家族にとっても戸惑うことばかりで、とても大変だと思います。
でもとにかく叱らないことです。
そう叱らないこと…。
難しいとは思いますが、ここはぐっと我慢してくどいようですが叱らないことです。
そして専門の医療機関に早めに連れて行ってあげてください。

まとめ

管理人の母は、晩年かなりひどい認知症でした。
かろうじて私の顔は分かるのですが、話しても意思の疎通はほとんど図れませんでした。

唯一良かった(?)ことといえば、タバコの存在を忘れて、ある日を境に突然まったくタバコを吸わなくなったことくらいでしょうか…。
グループホームから特養へと移り、ある時突然亡くなりました。

亡くなったときは当然悲しかったのですが、もはや知っている母とは違っていたので、悲しみの程度はそれほどでもありませんでした。
(そんな風に言って、お母さんごめんなさい)
母が亡くなったのは、医師から死亡を告げられた時でなく、私の中では認知症がひどくなった時だったのかもしれません。

私が思うに、物忘れはデフラグしていないハードディスクが、データをすぐに引っ張り出せない状態です。
対して、認知症は、壊れかけて読み書きできなくなっているハードディスクのように思います…。

そういえば、介護施設の担当の方がよく言っていました。
私の「大変なお仕事ですね?」という問いかけに対してです。

「仕事だからできるんです。自分の親だったらきっとできません。」

家族で認知症患者を介護するのはものすごく大変なことだと思っています。

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