飽食の時代に栄養失調!?現代の新型栄養失調ってなんぞ?
飽食の時代と言われる現代に、栄養失調ってちょっと意外ですよね?
あっ、ちなみに飽食の時代の「飽食」とは、飽きるほど腹いっぱい食べることとか、食べたいだけ食べることが出来て食べ物に不自由しないことを指します。
つまり、飽食の時代とは、食べ物が十分に満ち足りていて、食うに困らない時代ということですね。
そんな時代に栄養失調って… 戦時中でもないのに意外過ぎる気もしますが、実はそういう新型栄養失調の人がじわじわ増えているのだとか。
それも三食きちんと食べているにもかかわらずですよ!?
新型栄養失調に注意!三食きちんと食べていても栄養不足!?
さて、先述の通り、新型栄養失調の人が増えています。
特に高齢者やダイエットし過ぎの若い女性に多い傾向が見られます。
肥満やメタボの中年おやじなら、健康への配慮から何らかの食事制限も考えられますが、健康体で、しかも朝昼晩と三食きちんと食べている(つもり)にも関わらず必要な栄養が不足している… それが新型栄養失調です。
栄養失調というからには、当然のことながら栄養が足りていないわけですが、新型栄養失調の場合、本人にはその自覚がないのが特徴です。
それはそうですよね、本人はきちんと食事を摂っているのですから。
ちなみに、栄養が十分に摂れているかどうかの判断基準には色々な指標がありますが、最も正確で客観的に判定するために医学的に多く用いられるのが血清アルブミン値です。
アルブミン・・・
あまり聞きなれない言葉ですが、その詳しい意味などは専門のサイトにゆずるとして、ここではアルブミンは「血液中のタンパク質の主要な成分」とだけ覚えておきましょう。
その血清アルブミン値ですが、栄養が不足すると値が低下してくるんです。その状態を「低アルブミン血症」といいます。
で、低アルブミン血症が続くと人体に様々な影響が出てきます。
具体的にみていきましょう。
まず、筋肉が収縮します。その結果、力が入らない・力が出ないといったことが起こります。
高齢者の場合、これにより足腰が弱りますので転倒する危険が生じます。転倒以前に、ひどいと歩けなくなることも。
また、高齢者じゃなくても、疲れやすい・免疫力が低下する・体の抵抗力が落ちるといったことが起こります。
過度なダイエットなどでこの状態になると、不健康極まりなく、お肌なども荒れてきます。
そりゃそうですよね? 栄養失調ですから。
でも、過度なダイエットならともかくも、なぜ三食きちんと食べていても栄養失調になるのか…?
粗食が必ずしも体にいいわけじゃないって知ってた?
なぜ三食食べていても栄養失調になるのか…
それは食べている内容、つまり摂取している栄養によります。
新型栄養失調の人に多く見られる食事がいわゆる「粗食」なんですが、どうも原因はそのあたりにありそうです。
よく粗食は体にいいと言われ、たしかに何となくイメージとしては納得できる部分もあります。
ちなみに粗食とは、粗末な食事ではありませんから誤解の無きよう(笑)
粗食とは、穀類と野菜中心の食事を指し、お肉とか食べないんですね。
中年の肥満者やメタボ体質の人は内臓脂肪や体重をコントロールする必要があるので、(一時的に)粗食に切り替えるのは効果的なケースが多々あります。
それはやはり「粗食」というだけあって、脂っこいものや高カロリーなものは排除した食事ですから。
では万人に粗食はいいのか?
といえば、必ずしも粗食が健康に良いというわけでもないんです。
というのも・・・
よく肥満やメタボでもない人が、「お肉は脂があって体に良くない」とか、「卵はコレステロールが多いからやめとく」とか、お肉や卵などを敬遠して、限りなく「粗食」に近づいていくことがあります。
そうすると、栄養が思いっきり偏るんですね。
本人は体に良いと思って摂っている食事が、実はその逆で新型栄養失調を招く結果になっている…。
体のことを考えたつもりでも、必要な栄養が不足していては健康的に生きていく上で本末転倒というわけです。
特に、中年を過ぎたあたりから、体質の変化なのか脂っこいものをあまり受け付けないように嗜好が変わっていきます。(もちろん人にもよりますが…)
そうするとお肉や油の摂取量が減り、結果、血清アルブミン値が低下して知らず知らずのうちに栄養失調状態に陥ってしまいます。
同様の理由から、過度なダイエットなどにより血清アルブミン値が低下した栄養失調状態の若い女性も散見されます。
このことから分かるように、栄養のバランスが取れた食事をしないと、この飽食の時代でも栄養失調に陥るというわけです。
野菜中心の食生活はもちろんいいことです。ただ、摂取すべき必要な栄養素は野菜からだけでは補えません。
お肉もお魚も卵も果物もバランスよく食べることで健康な体が維持できるんです。
年齢に関係なくバランスの良い食事を心掛ける
高齢になるにつれ、体が必要とするエネルギー量は減っていきます。
代謝も落ちてくることから、食べる量も内容も若い頃と同じだと、どうしても太ってきます。
これが中年太りやメタボの大きな原因でしょう。
では、食べる量を減らしたり、粗食とまではいかなくても食べるものを大幅に変えればいいのかというと、必ずしもそうではありません。
というのも、ことタンパク質に関していえば、高齢になっても若い頃と同じくらい必要だからです。
そのためには、お肉やお魚、卵、豆腐や豆類など、タンパク質が多い食品を積極的に摂るようにしないと、確実にタンパク質が不足してしまうんですね。
また、これも欠かせないビタミンA・D・Eなどは、脂溶性ビタミンと言われ、油と一緒に吸収されるところがポイント。
そのため、加齢とともにあまり食べたくなくなる揚げ物やお肉の脂分といった「油」を敬遠し過ぎると… 栄養が大きく偏ってしまうことになります。
もちろんビタミンやミネラルが豊富な野菜、果物も大事ですが、タンパク質不足にならないためにも、お肉や脂分も嫌わずに摂取することは大事です。
まとめ
主に中高年に関しての話題になりましたが、若い女性にも新型栄養失調の人は少なくありません
栄養の偏りは年齢に関係なく良くないことがお分かりいただけたことでしょう。
この「飽食の時代」に栄養失調なんて信じられませんが、実際そういう人が多いのは笑えない事実です。
また、こと高齢者に関していえば、認知症の予防にもバランスのとれた食事は欠かせません。
そして、前章で強調したタンパク質に加えて、脂肪酸やビタミン類も十分に摂れば、それだけ認知症に対する予防効果は強まるでしょう。
というのも、魚類に多く含まれるEPAやDHAなどの多価不飽和酸脂肪は、神経細胞を守り、認知機能の低下を防ぐと言われているからです。
さらに、ビタミンAやC、Eなどには抗酸化作用があって、脳の老化を防いだり、動脈硬化の予防にも役立つ可能性が指摘されています。
ビタミン不足、タンパク質不足にならないためにも、いくつになっても多くの種類の食品を摂取し、肉・魚・野菜等のバランスを十分に考えた食生活を送ることがなにより大事なんですね。
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