打ち水には意味がないって本当?最も効果的な打ち水の方法とは
2018年夏、全国を記録的な猛暑が襲いました。
こうした中、東京都のある政治家は「都内各地で打ち水をして、東京を涼しくしましょう」という趣旨の発言をして物議を醸しています。
そして、これがきっかけとなり、「そもそも打ち水には効果があるのかないのか」というテーマが、ネット上を中心に議論されることになりました。
そこで今回は、打ち水をする意味、そして効果的な打ち水の方法についてご紹介していきます。
打ち水に効果はない?
まず、結論を先にいうと…
この政治家が提唱しているような、「都内各所で打ち水」というやり方には、「ほとんど意味がない」と言えます。
意味がないと言っても、打ち水自体を否定しているわけではありません。
というのも、打ち水自体は我が国で古来から行われてきた歴史ある涼の取り方ですし、化学的な裏付けもある理に適った方法です。
つまり、意味がないというのは、あくまでもこの政治家が呼びかけているような打ち水ならやめておいた方がよいという趣旨。
では、本来の打ち水と、東京の政治家がやっている打ち水、この2つはどこが違うのでしょうか。
これを理解するには、まず「打ち水をすれば涼しくなる」という科学的な根拠について知っておく必要があります。
打ち水の3つの目的と効果
打ち水には、次の3つの目的があります。
・気化熱で地面を冷やす
・地面に保水させて地熱を下げる
・地熱が下がれば気温が下がる
この3点です。
では、1つずつ見ていきましょう。
気化熱で地面を冷やす
水は蒸発する際に周囲の熱を奪っていくという特性があります。これを「気化熱」と言います。
よく「お風呂上がりに体を拭かないと湯冷めする」なんて言われますが、これはその典型的な例です。
体が濡れたまま放っておくと表面の水分が蒸発していく際に体温を奪われ、体が冷えて風邪をひくよという意味で、この「体温を奪っていく」のが気化熱です。
今の例を元に、体を地面とした場合、地面に水をかけて濡らせば、その水分が蒸発する際に気化熱によって表面の温度を冷やしてくれる…。
これが「打ち水」の考え方です。
保水効果
2つ目のポイントは「地面の保水効果」です。
実は、「打ち水」に関する議論では、この保水効果というポイントが意外と見逃されがちなんです。
そもそも、日本人が打ち水によって涼を取り始めたのは、まだこの世にアスファルトなんてものがなかった頃の話です。
土の地面に水をかけると、水はしみ込み、地面はしばらく濡れた状態になります。
これが「保水」です。
上記でご紹介した気化熱で地面が冷やされ、地面自体も湿った状態になりますから、地熱が下がって周囲の気温も下がる…というわけです。
つまり打ち水は、アスファルトではない土の庭や路地に対して行なうのが、最も効果が高いということになります。
アスファルトは水を吸わない
しかし、現代はどこもかしこもアスファルトで覆いつくされています。それは都市部であるほど顕著です。
アスファルトはほとんど水を吸わないため先述の保水は期待できません。
水をかけて冷やしたところで、アスファルトはすぐに乾いて、また温度が上がってしまいます。
これでは文字通り、「焼け石に水」です。
打ち水は、「地面を冷やす」のが目的ですから、温度が下がりにくいアスファルトに水をかけても大した効果は期待できないんですね。
水道水がもったいない!
また、この政治家のパフォーマンスには、もう1つ炎上したポイントがあります。
それは、「水道水をまいている」という点です。
当然のことながら、水道水は有料。なおかつ限りある資源です。
しかも、夏がこれほどの猛暑となれば、「水不足」という事態も想定しておかなくてはなりません。
一般庶民からしてみれば、「貴重な水資源を何考えて勝手にまき散らしてんの?」ってなもんです。
打ち水をするなら、洗濯のすすぎの水やお風呂の残り湯、近くに小川や用水路があるなら、そういった水を使うようにしましょう。
まぁ、都市部では小川も用水路も見かけませんから、実際は難しいのですが…。
そして、アスファルトではなく、「土の地面にまく」というのが、最も効果的で経済的な打ち水です。
まとめ
いかがでしたか。
東京の政治家によるパフォーマンスは、「貴重な水道水をアスファルトにかけて喜んでいる」というなんとも幼稚な姿です。
これでは、国民から非難されても仕方ありません。
打ち水の本来の意味は…
・気化熱で地面を冷やす
・地面に保水させて地熱を下げる
・地熱が下がれば気温が下がる
以上の3点です。
そのため、最も効果的な打ち水は、「雨水や川などの自然の水を土の地面にかける」というやり方です。井戸があれば井戸水でもよいでしょう。
自宅で打ち水を行なう際は、ぜひ、参考になさってみてくださいね。
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