PTSDを克服できるEMDRとは?うつや不眠にも効果的?
「EMDR」という言葉をご存知でしょうか。
過去のトラウマによって生じる精神疾患(PTSD)に最も有効な治療法の一つとして、近年つとに注目されるようになったキーワード…
それが「EMDR」です。
今回は、「EMDR」と「PTSD」、この二つの用語についてお話ししていきます。
PTSDとは?
PTSD(心的外傷後ストレス障害)とは…
過去のショック体験や強いストレスをきっかけに、心にひどく傷を負うことで発症する精神疾患の一種です。
このPTSDで苦しんでいる人というのは、例えば…
・幼少期に虐待を受けた人
・目の前で大切な人を亡くした経験のある人
などです。
後遺症が続く
こうした過去の壮絶な思い出がトラウマとして記憶に焼き付くことで…
・悪夢にうなされたり、
・眠れなくなったり、
・驚きやすくなったり、
・悪い想像が頭から離れなくなったり、
などの後遺症が現れます。これがPTSDです。
PTSD患者には、こうした症状に対処するため、睡眠薬に依存したりその他の嗜好品に溺れたりといったケースが散見されます。
その結果、別の新たな精神疾患や肉体的なダメージを生み出してしまう…という悪循環に陥ってしまうのです。
原因が放置されやすい
こういった言わば二次被害は、一見すると過去のトラウマとの因果関係が見出しにくいため、PTSDはそのまま見過ごされるケースが少なくありません。
しかし、そもそも二次被害の原因がPTSDにあるのなら、不眠や幻覚などの症状が現れた際に、対症療法など施しても問題解決にはほど遠い…と言わざるを得ないでしょう。
喫緊の課題は「根本的な原因」の究明であり、それが過去の「トラウマ、PTSD」にあるという事実を突き止めなければ問題はいつまでも解決しません。
そのうえで、正しい治療を行う必要があります。
PTSDの治療法はあるのか
では、PTSDの抜本的な治療法はあるのでしょうか。
PTSDとは、簡単に言えば、過去のトラウマによって起こるものですから、「記憶を治療する」というのは容易なことではありません。
話題の「EMDR」とは?
そこで、PTSDの治療法として、近年つとに注目されているのが「EMDR」という手法です。
EMDRとは、「Eye Movement Desensitization and Reprocessing」の略称です。
日本語訳は、
「眼球運動による脱感作(だっかんさ)と再処理法」となっています。
EMDRの手法は、専門的で複雑ではありますが、一言で言うと…
というものです。
このEMDRによって、患者はPTSDの根本原因となっている「過去のつらい記憶」に直面し、それを整理できるようになります。
こうして、PTSDによって引き起された「うつ病や不眠」などの悩みも大幅に改善していくことができる…というわけです。
実施には注意が必要
ただし…
EMDRは、催眠的な手法であるため、術者の力量によるところが大きく、EMDRの実施に当たっては細心の注意が必要です。
しかし、これまでからお話ししているように、うつや不眠、幻覚、恐怖感などの一連の症状の多くは、「過去の心の傷」によって引き起こされます。
そのため、こうした心の傷をEMDRによって癒せれば、その他の症状や精神疾患も抜本的に解決されていく…というわけです。
「日本EMDR学会」とは?
日本では既にEMDRの研究が盛んで、「日本EMDR学会」という機関もあります。
この学会には、EMDRの専門家が多数所属しており、全国各地でEMDRによる治療を斡旋しています。
日本EMDR学会については、学会のウェブサイトに詳しく書いてありますので、関心のある方は、ぜひそちらもご覧になってみてください。
まとめ
いかがでしたか。
EMDRの知識は、今後さらに注目が高まっていくと考えられます。
なぜなら、虐待や災害、大切な人との死別など、深い心的外傷(トラウマ)を負って苦しんでいる人に対し…
私たちは「どのように接すればよいのか」分からないというケースが往々にしてあるからです。
PTSDやEMDRに関する知見を広め、より正しい対処法を理解する努力が肝要です。
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