7月と8月二つのお盆がある理由
お盆を執り行う時期は、地方により7月と8月の2パターンあります。
なぜそのように分かれているのか?
いつからそうなったのか?
などなど、
今日は、二つのお盆について紐解いてみましょう。
7月と8月、二つのお盆
そもそもお盆は7月15日頃の行事です。
では8月のお盆が間違いなのかというと、そうではなく、元々は8月15日頃(旧暦の7月)行われていました。
ちょっと話がややこしいですね。
元々8月に行われていたお盆は、明治時代になって使う暦が旧暦の太陰暦から新暦の太陽暦に変わったために色々と変更の必要に迫られました。
つまり、簡単にいうと暦が1か月前倒しになったため、新たな暦に合わせてお盆をするか、元々やっていた時期にお盆をするかの二つに対応が分かれたんです。
7月ということは変わりません。その7月の時期が変わったと考えれば少しは分かりやすいでしょうか。
それでもちょっと感覚的に分かりにくいので、年初から考えてみましょう。
元々お盆は年初から数えて227日頃に行われていました。この227日目は現代の8月15日にあたります。
そう考えると8月のお盆が正しいということになりそうですが、お盆の定義はあくまで「7月15日頃」です。8月ではありません。
つまり、暦が切り替わったことで、元々は年初から227日目頃に行われていたお盆を前倒しして196日目(現代の7月15日)に変更したのが7月のお盆。
このお盆は、あくまでも「7月」にこだわったお盆ということになります。
それに対して、7月へのこだわりを捨てて(といっては語弊もありますが)、あくまで執り行う時期を重んじたのが8月のお盆ということになります。
お盆の時期が二つある事情と背景
以上がお盆が二つある理由です。
ではなぜ暦の切り替え後に対応が二つに分かれたのか?ということですが、これは主に農村部の思惑と事情が絡んできそうです。
7月のお盆は都市部に多く、8月のお盆は地方に多い。そのことからもなんとなく事情が見えてきそうですよね。
そう、つまり、現代の7月15日辺りは、まだ梅雨が明けるか明けないかという頃で、農繁期にさしかかろうかという時期。
農村部においてはその時期に大切なお盆が突然割り込んでくると色々と支障をきたすといった事情もあって、元々執り行っていた時期に据え置きとしたわけです。
これが8月のお盆が存在する大きな理由でしょう。
ところが農作業にあまり関係のない都市部においては、特に支障もなく1か月前倒しの新しい7月にお盆を執り行えたことから、7月という元々の時期を維持できたわけです。
そういったことから、地方によりお盆の時期は異なります。
どちらが正しいということでもなく、7月にこだわったのか、執り行う時期にこだわったのかの違い。
むしろ、便宜上使った「こだわり・こだわった」という言葉も不似合いで、庶民がそれぞれの事情や置かれた生活環境などにより、時間をかけて定着していったものです。
ちなみに暦の切り替え自体も、そう簡単に全国に浸透していったわけではありません。お盆を含め、様々な行事や祭りなど、政府が急に日程を変更しろと言っても無理がありますからね。
事実、お盆が現代のように7月と8月の二回で一応それなりに定着したのは昭和になってから、それも戦後のことだといいます。
第三のお盆
最後に、実はお盆はここまで書いてきた2パターンだけではなく、もう一つパターンがあって、お盆は全部で3パターンになります。
7月のお盆は新暦に従ったので新盆とも言われ、8月のお盆は旧暦重視なので旧盆とも言われますが、本当の旧盆とは8月15日頃ではなく、8月前半から9月前半をいい、お盆の時期は毎年変わります。
それがここでいう3パターン目のお盆ですが、何をかくそう、この3番目のパターンこそが本物で、昔から厳密に旧暦のお盆の時期にご先祖をお祀りしています。
沖縄や奄美地方など、一部地域では今なおその時期にお盆が厳粛に執り行われています。
まとめ
先祖や故人に思いを馳せる行事としては、お彼岸とお盆がありますが、お彼岸はお墓参りのイメージが強いのに対して、お盆は故人が帰ってくるという独特の厳粛さがあります。
地方によりお盆の時期は違いますが、それぞれにその時期には改めて故人を偲び、帰ってくる御霊を温かく迎えたいものです。
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