花粉症の治療に減感作療法!これで辛い花粉症とオサラバ!?
日本人の花粉症の大半はスギ花粉が原因で発症します。
しかし、発症例は多くないものの、中には他の植物の花粉が原因で起きる花粉症もあり、原因になる植物は60種以上もあるといいます。
花粉症はその人のアレルゲンである花粉が飛んでいる時期だけに現れる季節アレルギー疾患です。
したがって、アレルゲンである花粉が飛ばなくなると症状はなくなります。
だったら、スギ花粉が飛んでいる時期だけ、スギのない北海道や沖縄に移住すれば、あの忌々しい症状に毎年苦しめられることはなくなりますが、現実的ではありません。
そこで考えたいのが、根本的な治療です。
マスクやゴーグルといった付け焼刃的な防御ではなく、花粉症そのものを根治すれば、毎年やって来るあの憂鬱から逃れられるかもしれません。
花粉症の根本的な治療法はあるのか?
花粉症の根本的な治療法として、減感作療法というものがあります。
非常に効果の高い治療法ですが、数年間に亘り根気よく通院する必要があります。
数年間の通院といっても、数年後にしか効果が現れないわけではなく、1回目の注射から内服薬が必要なくなった例もあるように、効果は早い段階から現れます。
しかし、減感作療法は一種の免疫療法なので、身体に完全に免疫を作るには数年を要するということです。
週に1~2回注射を打つ必要があるため(舌下投与もあり)、仕事などで多忙な人には通院する時間をやりくりするのが大変かもしれません。
とは言え、それで花粉症が治るのなら… そして今後もう苦しい思いをしなくていいのなら… そんな時間のやりくりも大した問題ではないと思いませんか?
花粉症の治療は、抗ヒスタミン薬の内服、および点鼻薬の使用が一般的ですが、これらが効かないときには、ステロイド点鼻薬を使用します。
しかし、あまりに症状がひどく日常生活に支障をきたすような場合や、もう本当にほとほと参った、楽になりたい!と思うなら、減感作療法はあまりにも魅力的な選択肢といえるでしょう。
減感作療法の効果とデメリット
減感作療法は週に1~2回注射します。(舌下投与もあります)
それにより、花粉症のアレルゲンであるスギ花粉とIgE抗体が結合しないような遮断抗体を体内で作らせます。
医学書じゃないので、IgE抗体なんて言葉が出てくると一気に読みにくくなりますが、誤解を恐れず簡潔に言うと、アレルゲン(この場合はスギ花粉)とこのIgE抗体が(本当はそこにマスト細胞というものも絡むのだが)、要は合体(結合)すると、アレルギー反応(この場合は花粉症の症状)が起こるので、それらの結合を阻止しようというものです。
要は、先述のように体内にスギ花粉の免疫を作り、スギ花粉が侵入してきても反応しないようなシステムを体内に作るということですが、事実、減感作療法により、リンパ球の活性化は抑えられ、サイトカインの産生は減少します。
サイトカインとは細胞間の伝達役で、この場合、スギ花粉が侵入してきたのでやっつけろ!という指令を持って他の細胞と結びつき、アレルゲンを退治する役割を担いますが、そのサイトカインの産生が減少したことからも、減感作療法によりスギ花粉症の症状に対して抵抗力が増したことがうかがえます。
以上のように、減感作療法は治療法として有効性が高く、抗ヒスタミン薬の内服薬、および点鼻薬の使用が減るケースが医学的にも確認されています。
端的に言うと、花粉症の根治に近づいたということに他なりません。
ただし、この治療法もいいことばかりではなく、デメリットといえる部分もあります。それは、効果を完全なものにするためには2~3年間継続しなければいけないということ。
仕事などが忙しく、時間があまり取れないといった人は継続することが困難になるケースもあります。
しかし、ある期間治療を継続すると、その後たとえ注射を中止したとしても、スギ花粉に対して自然に遮断抗体の産生が再開して、症状の改善がみられるケースも散見されます。
将来的に何らかの事情で継続することが困難になったとしても、まずは治療に取り組む価値は十分にあると思われますが、いかがでしょう。
また、もう一つ、稀に副作用的症状が現れるという欠点があります。
時々注射の10~15分後に血圧が下がったり、呼吸困難になるケースがあるので、この治療に習熟した専門医の元で治療することが肝要です。
いずれの副作用も一時的なもので、当然命にかかわるようなことではありません。
実はもっとすごい治療法もある!?のだが…
以上のように、減感作療法は、現在のところ、花粉症の症状の根治の可能性という点では最も優れた治療法といえます。
抗ヒスタミン薬の内服や点鼻薬の使用などとは、治療法も効果も別次元です。
しかし、実はもっとすごい(と思われる)治療法も、既に確立されているのです。
それは、抗IgE抗体を直接注射するというもの。
どういうことかというと、
花粉症は(また誤解を恐れず簡単に言うと)、スギ花粉がIgE抗体と結合するから起きるわけで、だったら結合する前に、抗IgE抗体を先にスギ花粉と結合させることで、スギ花粉とIgE抗体との結合を防げるというものです。
ややこしいですか?
片方はIgE抗体でこれが花粉症の一つの原因、もう片方は抗IgE抗体で、頭に「抗」がついているので、概ね逆の意味、つまり原因の一つであるIgE抗体に「あらがう」と書くわけですね。
花粉症はスギ花粉とIgE抗体が結合して起きるのだから、その結合を未然に防ぐために、先に抗IgE抗体を結合させちゃえ!ということです。
これだったら、正に予防であり、花粉症が発症しない説明がつきますよね。
なら、これが最強・最善の治療法なのでは? ということになりますが、残念ながらまだ実用段階に至っておりません。
現在、日本では重度のぜんそく患者のみ保険が適用されています。
この抗IgE抗体の注射は、先述の減感作療法のように毎週打つ必要はなく、スギ花粉症の場合なら花粉が飛散し始める少し前の1月に注射を開始し、 2月、3月、4月と、月に1回ずつ注射するだけです。
減感作療法よりずいぶんと手軽な治療法で、忙しい人でも時間的問題を感じることなく治療ができるうえ、効果も優れています。
ただ、日本では花粉症に対しては実用段階ではないうえ、治療費が高価なことも欠点です。
なにせ、アメリカでは注射1本が600ドルといいますから。
でも、治るなら多少高くても治療したいという考え方もあり、自費でも治療してくれるところがないものか探してみましたが、今のところ見つかりませんでした。
また見つかれば後日追記したいと思います。
まとめ
花粉症は本当につらくって、毎年その時期がやって来ると憂鬱になるものです。
正直言って、薬局に売ってる薬なんかでは気休め程度にしかならないし、マスクやゴーグルだってないよりはマシですが根本的な解決にはなりません。
そこで、花粉症の根治に向けて、減感作療法という治療法をご紹介しました。
付け焼刃的な治療より、根本的に花粉症を治し、あのつらい症状とおさらばしたいものですね。
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