終活の手始めにエンディングノート、そして遺言を残すことの意味
最近は色々な言葉がありますね。
「しゅうかつ」といえば、就職活動を示す「就活」が一般的ですが、「終活」という言葉もあります。
「終活」は人生の終焉を迎えるための活動を指し、いつか、あるいは間もなく訪れる(であろう)死に対しての活動です。
活動というより意思の表明と言った方がいいかもしれません。
その意思の表明をするのに有効な手段がエンディングノートと遺言です。
エンディングノートの意義
近年、エンディングノートが注目されています。
ある程度の年齢になって「自分の死」について考えるようになったとき、自分の人生をどう締めくくるか、自分の死後にどうして欲しいかなど、自分の意思を書き記しておくノートをエンディングノートといいます。
もちろん、家族への感謝の気持ちやねぎらいの言葉、先に旅立つ者として残された家族を案じている思いなども記すことになるでしょう。
形式は記入式のノートが一般的です。
様々なタイプの記入式ノートがエンディングノートとして売られています。
値段も1,000円から2,000円程度のものが多く、1,000円しないものもたくさんあります。
書店や文具店で売っているほか、ネットでも多くのノートが売られています。
ほかに、市民団体、たとえば退職後の生活を支援する団体や、葬送の在り方を考える団体などが発行しているケースや、葬儀社などが作成して無料配布しているものなどもあります。
また、ダウンロードできるサイトもありますし、手書きが苦手だったらワードなどで作成してパソコンに保存しておいてもかまいません。
要は、自分の死に関する意思が記されていれば特段これといった決まりはなく、遺言と違って書式や形式は自由です。
ただ、一応は「終活」であり、読むのは残された家族ということが想定されるので、手書きに勝るものはないでしょう。
エンディングノートがもたらす精神的効果
最近は、人生の終焉を元気なうちに考えておこうという風潮が高まっています。
自分の死に関して考えるのはなかなかイメージもわかないもので、どこか他人事の気もしてしまいますが、葬儀のやり方やお墓、あるいは延命措置など、希望があれば家族に伝えておきたいものです。
ところが、近年は核家族化が進み、子供の独り立ち以後も親と同居しているケースはあまり多くないことから、親が自分の死について子供と話し合う機会を設けるのはそう容易いことではありません。
だからといって何も伝えずにいると、いざというとき、親は「どうしてほしいのか?」ということが子供に伝わらず、残された家族が決断に苦慮するというケースがよくあります。
こんなとき、もしエンディングノートがあったらどうでしょう?
自分の意思を伝えることができれば、残された遺族の精神的負担を多少なりとも軽減できるのではないでしょうか。
終末期から死、そして死後は、たとえどんなに立派な人であろうとも、自分以外の「誰か」に自分のことを代行してもらう以外に手がありません。
なにしろ自分は死んでしまっているので、如何ともしがたいわけですね。
そして、代行してもらう「誰か」というのは、やはり家族、特に子供ということが多いでしょう。
エンディングノートをきっかけに人生の終焉を考えることは、家族や周りの人との関係を見直すきっかけにもなります。
そればかりか、仲が良くてもあるいは不仲でも、親子間の関係などに思いを馳せてみることは、少なからず良い結果を招くに違いありません。
遺言を残すことも考えてみる
エンディングノートには法的拘束力はありません。
対して遺言は、要件を満たしてるのを条件に、民法により法的拘束力があります。
遺産分割の方法などは、エンディングノートによらず、法的拘束力がある遺言が適しています。
ただし、遺言に記す内容は、遺産分割以外には法的拘束力はありません。
たとえば、葬儀の方法であるとか、終末医療に関する記述等、こういったものはそもそも遺言にはなじみません。
これらはエンディングノートに記すべき事項になります。
では、遺言のメリットとはなんでしょう?
それは遺産分割に関する揉め事の防止です。
「自分には資産がないから関係ない」と思う人も少なくありませんが、相続の揉め事は資産家だけの問題ではありません。
なぜなら、大小は置いておいて、多くの人の遺産は、その大半が土地や家屋などの不動産であることが多く、それらを平等に分配するのは難しいからです。
ところが、もしも遺言で遺産分割の方法を指定すれば、それは即ち、死後でさえ自分の意思に沿って財産が処分できるということに他なりません。
さらに、遺言で分割を決めておけば、俗にいう「争続」、つまり相続人同士の不毛な争いを未然に防げる可能性が高くなります。
遺言には、自筆証書遺言と公正証書遺言がありますが、基本的には公正証書遺言がいいでしょう。
自筆は要件を満たしていないと効力がなく、また改ざんされる恐れもあることから保管にも気を使います。
対して、公正証書遺言なら原本が公証役場に長期間保存されるので改ざんされる恐れもなく、また書き方についても公証役場が相談に乗ってくれます。
それにより要件の不備等もない完全な遺言を安全に残すことができるわけです。
まとめ
死の迎え方に向き合うというのはなかなか難しいものです。
ただ、やはり思い残すことが多く、それを伝える術がないというのでは、死んでも死にきれないというもの。
残された遺族のためにも、自分はどうして欲しいのかを伝えるのが親切です。
エンディングノートを活用して、元気なうちに自分の偽らざる気持ちを感謝の言葉と共に綴っておきましょう。
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