帰り道の方が行きより早く感じる理由~ジャネーの法則との違いは?

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帰り道の方が行きより早く感じる理由

どこかへ出かけたとき、「行きの道よりも、帰り道の方が早く感じた」という経験はありませんか?

実は、この「早く感じる」という現象は、「リターン・トリップ・エフェクト」と呼ばれ、心理学的に原因が解明されています。

そこで今回は、「帰り道の方が早く感じる」という現象が起こる理由、

そして、同じく「早く感じる」という心理現象の1つである、『ジャネーの法則』との関連性についてご紹介していきます!

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リターン・トリップ・エフェクト

どこかへ出かけるとき、必ずと言っていいほど「行きの道」よりも「帰り道」の方が早く感じますよね。

この現象は、「リターン・トリップ・エフェクト」と呼ばれています。

「リターン・トリップ」つまり、『帰り道』特有の現象を指しています。

慣れているから?

一般にこの現象は、「慣れているから」というのが理由だと考えられがちです。

つまり、「行く時に1回通った道だから、体がすでに慣れていて、帰るときは早く感じるのだろう」という考え方です。

もちろん「慣れ」というのも理由の1つです。

しかし、行きと帰りが別々の道でも、実は「帰りの方が早く感じる」のが、実験で明らかにされています。

2011年にオランダの大学が、この現象を科学的に解明しようと、100人以上の被験者に対して実験を行ないました。

それぞれ「行きと帰りで同じ道」「行きと帰りで別々の道」を通ってもらい、行きと帰りで「どれくらい違うと感じるか」を調査したところ…

いずれの被験者も「帰りの方が早く感じた」と回答しました。

見積もり時間の違い

この実験により、研究チームは次のような結論を導き出しました。

それは…

「見積もり時間が違うから」というもの。

例えば、ある行き先までの道のりを「徒歩5分」と見積もっていたとします。

この場合、行きの道で「5分かかるかどうか」は、まだ確定していないわけです。

そして、スタート地点を出発して、3分、4分と経過していくにつれ、人は、「まだ着かない」と考えます。

結果として、たとえちょうど5分で到着できたとしても、行きの道は「5分もかかった」というように長く感じるわけです。

帰りは余裕を持って見積もる

反対に、帰り道の場合は…

行く時に「5分かかった」のを既に経験していますから、「6~7分で着く」という風に多めに見積もります。

行きに比べて余裕を持っているので、3分、4分と経過しても、「また着かない」とは考えませんよね。

こうなると、行きも帰りも所要時間は全く同じ5分でだったとしても…

行きは「ギリギリ5分」で見積もり、帰りは「余裕を持って6~7分」で見積もっている分だけ早く感じる…。

これが真相です。

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他人の体験も早く感じる

以上は、「自分自身の体験」のケースです。

この実験を行なったオランダの大学は、さらに一歩踏み込んで、「他人の体験でも早く感じる」ということを実験で証明しました。

被験者に対して、「別の人が移動している動画」を見せ、「動画の中で、行きの道と帰り道は、それぞれ何分かかったと思うか」という質問をしたんです。

もちろん、動画でも、行きと帰りの所要時間はピッタリ同じに設定してあります。

しかし、このときも、帰り道の方が「短く感じた」と答た人がほとんどでした。

つまり、自分の経験ではなく、動画の中という他人の経験であっても、人は行きよりも帰りの方を「早く」感じるんです。

経験を元に、未来を予測する

以上の実験結果から導かれた結論は次の2点です。

●行きと帰りが同じ道でも別の道でも、帰りは「余裕を持って時間を見積もっている」ため早く感じる

●他人の移動であっても、それを見ている人は、「行きの時間を元に帰りの時間を予測する」ため、帰りを早く感じる

これが、「リターン・トリップ・エフェクト」です。

知識や経験が元になる

人は無意識のうちに、「経験済みのデータ」を元にして未来を予測します。

それは「行ったことがある」という実際の経験に限りません。

「見た」「本で読んだ」など、文章や動画などによる知識や記憶が脳内にインプットされると、人は、次に同じ行動をするとき、それを元にして「結果を予測」します。

そのため、経験する前よりも、経験した後の方が、「より正確なデータ」を元に予測するため、「帰り道の方が早く感じる」というわけです。

ジャネーの法則とは?

ここでもう1つ、『ジャネーの法則』にも触れておきましょう。

「年をとればとるほど、時間が経つのが早く感じる」

という心理現象を、【 ジャネーの法則 】といいます。

これも、今回ご紹介している「リターン・トリップ・エフェクト」と、かなりの部分まで共通しています。

「ジャネーの法則」も「リターン・トリップ・エフェクト」も、「人は自分の経験を元に時間を計算する」という根本的な部分で共通しています。

この考え方が「時間の早さ」にも影響を及ぼし、「行きの道よりも帰り道」「若い頃よりも年をとった後」の方が早く感じる…という結果につながっているんです。

まとめ

いかがでしたか。

今回は、「時間を早く感じる心理現象」として、

・帰り道を早く感じる「リターン・トリップ・エフェクト」

・年をとるほど早く感じる「ジャネーの法則」

について、ご紹介してきました。

逆に言えば、「自分は経験している」という考えは、時間の早さを加速させ、より「老け込んでしまう」原因につながります。

いつでも、子供の頃のような、新鮮な気持ちを保っていたいものです。

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