2分の1成人式って何?どんな行事でなぜ批判されるのか?その問題点

公開日:  最終更新日:2018/01/17

2分の1成人

二十歳の「成人式」は誰でも知っていますが、「2分の1成人式」があるのをご存じでしょうか?

二十歳の2分の1、つまり10歳(小学4年生)を対象にして、小学校で行われる行事です。

時期的には1~2月、つまり三学期に行われるケースがほとんどです。

この行事は、親にとって「涙腺崩壊ものの儀式」だとも言われ、楽しみにしている親御さんが多い一方、批判の声も少なくありません。

今回は、「2分の1成人式」を開催する学校の狙いと、批判される理由について考えていきましょう。

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2分の1成人式とは?

先述の通り、2分の1成人式は、成人(20歳)の2分の1、つまり10歳を記念して行われる行事で、ハーフ成人式とも呼ばれています。

昔はそんな行事はなかったので、初耳という人も少なくないでしょう。

小学校で開催される行事ということで、文科省が定めたのかな?と思いきや、学習指導要綱にはその記載は一切ありません。

それもそのはず、国が主導したのではなく、学校単位で行われているんですね。

小学校の課外活動の一環ということで、開催する・しないを含めて、その態様は学校によって様々です。

内容としては、校長先生や保護者代表による祝いの言葉があったり、「2分の1成人証書」の授与式や合唱などが行わます。

2分の1成人式はいつどうように始まった?。

それではこの「2分の1成人式」、いつ、どんな意図をもって始まったのでしょう?

考案したのは、兵庫県西宮市の小学校教員、佐藤修一教諭です。

1980年頃、佐藤教諭が小学4年生を担任した際、これから5年生・6年生と高学年を迎える子供たちが「背筋を伸ばして参加するようなイベント」として考案したのだとか。

10歳といえば、それまでの「お世話をしてもらう」立場から、人の「お世話ができる」立場へと移行する大切な時期。

その時期に「自分が生まれてきた事への感謝と将来の夢」について考えるきっかけにしてもらいたい… そんな思いが込められているのだそうです。

どうのくらい普及しているの?

では、実際に「2分の1成人式」は、どの程度普及しているのでしょう。

ある調査では、2006年の時点で、東京都内の公立小学校約1,300校の半数以上、愛知県では2007年度、公立小学校984校中120校で行われていたようです。

この数字だけ見ると、まだまだ開催していない小学校の方が多いな… という印象ですが、統計がちょっと古いので、その後はもっと普及している可能性もあります。

最近は、成人式並みとまでは言わないものの、徐々にイベント化してきて、「2分の1成人式」に写真屋さんで記念撮影をする家族も少なくないといいます。

それが証拠に、七五三のように衣装からアルバムまでセットで用意している写真やさんも珍しくないというのだから驚きです。

2分の1成人式の問題点

その趣旨に賛同して楽しみにしてる親御さんがいる一方、何かと批判の声も少なくない「2分の1成人式」。

では、どのあたりに問題があるのでしょう。

元教員や社会学者たちが指摘する問題点としては、以下が挙げられます。

1.
子供たち一人ひとりのスピーチで、親への感謝を「強制」されている

2.
様々な家庭事情があるにもかかわらず、一元的な扱いで生い立ちを振り返らせる行為自体、子供が苦痛を伴うケースがある

3.
上記「2」に関して、特に虐待にあっていたり、施設にいる子供への配慮がなされていない

などなど、
行事内容について再検討が必要ではないか?という声も多数挙がっています。

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実際に、複雑な家庭事情から、このような行事を苦にする子供もいるため、別の授業に切り替えた学校もあるといいます。

また、「2分の1成人式」を廃止した経験のある元教員は…

「行事直前に父親を亡くした子どもがクラスにいたため」この行事を取りやめたそうです。

それに対して、

「個人情報の観点から取りやめた理由を明らかにしなかったところ、賛成派の保護者から猛烈なクレームにあった」とのこと。

このクレームの経験から元教員は、

「今まで育ててくれてありがとう的な感謝の言葉を子供に言われたい親が多いようだ」と、その時のことを振り返っています。

他にも「2分の1成人式」は、「2分の1虐待」と揶揄されてもしかたがない… という声も多く聞かれます。

2分の1成人式は親が喜ぶだけのイベント?

学校はあくまでも、子どもたちが勉強する場であり、親たちを喜ばせる場ではありません。

ましてや、子どもに親への感謝を言わせる場でもないはずで、小学校でそんなおせっかいなことをやること自体、正直驚きを感じます。

態様を含め、行事の内容は基本的に学校毎に決められますが、円滑な開催のため、けっこうな根回しが事前に行われている感じがします。

どんな根回しかと言うと、基本的に以下のようなことが常態化しています。

親が「子供への手紙」を書かされる。
内容は、子供が「自分は大切にされているんだ」と感じるようなもの。

これにより、感動的なエピソードが書ける「親力」が試されるのだとか。

しかし、急にそんな子供への手紙を書きなさいと言われても困る親御さんも多く、皆どうするかと言えば「2分の1成人式」とググるんですね。

それが証拠に、ネット上には「親からの手紙の例文」が、やたらたくさん掲載されています。

そんな例文を真似て書いたところで、そこに真心ってあるのでしょうか?もはやそれ自体が形骸化しているように感じてなりません…。

ましてや、最近はひとり親家庭も多く、仕事以外にそんな作文チックな手紙に時間を取られるは御免だ!と考える親御さんもいるでしょう。

こうしてみると、「2分の1成人式」が批判されるのも分かる気がします。

根回しはそれだけではない

また、式の最後に「お父さん、お母さん、育ててくれてありがとう」などと、子供が声をそろえて親に感謝を言う場面があるのだとか。

それに対して親は、「 感動しましたか?」と先生から聞かれるというのです。

何か変ですよね。

また、子供が声をそろえて言う感謝の言葉ですが、運動会や学芸会のように、何度もリハーサルというか練習を重ねるといいます。

「育ててくれてありがとう」の練習といい、親が書かされる「子供への手紙」といい、そこに真心は存在していないようです。

あるのは、勘違いと保護者と教員の自己満足だけ… といったところでしょうか。

まとめ

「2分の1成人式」の印象を子供たちに聞いてみると…

・意味がない
・いやな行事だった
・覚えてない

といった感想が多いといいます。

教師たちが、「良かれと思って」苦労して作り上げた行事なのは理解できないでもありません。

しかし、親は感動して泣いたりするわりに、主役の子供たちが冷めているのでは本末転倒です。

この行事のポイントがずれている証拠であり、何より、子供たちは「やらされている感」が強いんですね。

「2分の1成人式」は、結局「大人のための、大人が主役の行事」と言われても仕方ない… そんな気がしませんか?

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