ホメオスタシスの意味とは?ホメオスタシスと体温や血糖値との関係
「ホメオスタシス」という言葉をご存知でしょうか。
近年、「体調不良や体の異常などから、自らの体を守る働き」として、つとに注目されているキーワードです。
でも、聞いたことはあるけど意味はよくわからない、という感じですよね。
そこで今回は、「ホメオスタシス」という言葉の意味や使い方についてご紹介していきます。
ホメオスタシスとは?
「ホメオスタシス」という言葉は元はギリシャ語で、日本語の意味としては「恒常性」又は「恒常性の維持」等と訳されます。
しかし、「恒常性」という用語もあまり耳慣れない言葉です。
「ホメオスタシス(恒常性)」とは、平たく言えば、「体内の状態を一定に保とうとする働き」のことです。
よく挙げられる具体例としては、私たちの体の「体温」があります。
外の環境に変化が起こると、体温は上がったり下がったりすることによって体の状態を一定に保ち、環境に適応しようとします。
暑いと汗をかく理由
例えば、「気温が高く、暑いとき」は、まず血管が膨張します。
血管が膨張すると毛穴が開いて汗をかきます。
そして、この汗が蒸発する時に体温を奪って体を冷まそうとします。
つまり、体が体温を下げることで暑い環境に適応しようとするわけです。
寒いと体が震える理由
反対に「気温が低く、寒いとき」は、血管が収縮して毛穴が閉じ「鳥肌」が立つようになります。
鳥肌とはつまり、体の表面の毛が立つことですから、これにより「保温効果」が生まれます。
また、寒くなると体がガタガタと震えますが、これも体の筋肉を動かして熱を発生させ体温を上げるためです。
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これらの事例はつまり…
ヒトの体内では、周囲の環境が暑いときには体温を下げる働きが起こり、反対に寒いときには体温を上げようとするということです。
あるいは、別の言い方をすると…
「体に、何か別の力が加わったとき、それとは反対の力が働いてプラスマイナスをゼロにしようとする」
と、言い換えることもできます。
そして、体のこうした働きを指して、「ホメオスタシス(恒常性)」と呼びます。
体に元々備わった能力
今回の「ホメオスタシス」というテーマで最も重要なポイントは…
体内に何か異常が起きたときは、薬などに頼らなくても、体が自ら「元の状態に戻そうとする」ということです。
自然治癒力
例えば、私たちが風邪をひいたとき、熱が出ますよね。
これは、体温を上げて風邪の菌やウィルスなどを退治しようとしているからです。
よく「ウィルスのせいで熱が上がる」と考えられがちですが、これは少し誤解を生む表現です。
ウィルスが体温を上げるのではなく、体がウィルスを退治しようとして自ら熱を上げている、というのが正しい表現。
こうしたケースも、ホメオスタシスの例としてよく挙げられます。
高熱でウィルスは死滅する
体温がウィルスの生存温度以上に高くなれば、ウィルスはもう繁殖できません。
体温が40度を超えると、風邪のウィルスはほぼ全て死滅すると言われています。
そのため、少しくらいの風邪なら解熱剤などは飲まずに、体内のホメオスタシスに任せて、しばらく様子を見ておくのが本当は一番良いんです。
ケガをすると熱が出る
また、怪我をすると熱が上がるのも同じ理由です。
私たちが手足を怪我したときなどは、傷口が化膿するのを防がなくてはなりませんよね。
そのため、体が自ら体温を上昇させ、傷口で雑菌が繁殖するのを防いでいる…ということなんです。
血糖値とホメオスタシス
「ホメオスタシス」というキーワードでよく例に出されるのは、「体温」ともう一つ「血糖値」です。
私たちの体内では、血糖値が上がるとインスリンが分泌されますが、このインスリンには血糖値の上昇を抑える働きがあります。
これも同じく、ホメオスタシスの働きに他なりません。
つまり、体が自らインスリンを分泌することによって血糖値を下げようとしているんですね。
逆に言えば、私たちの体は、血糖値が上がり過ぎない「ホメオスタシス」のシステムを元から備えているはずなのですが…
この「ホメオスタシス」が正常に機能しない状態が、いわゆる「糖尿病」ということになります。
まとめ
いかがでしたか。
今回は、「ホメオスタシス」という言葉の意味と実際の使い方についてご紹介してきました。
「ホメオスタシス」は、一般に体温や血糖値に関する話題で使われるケースが多いです。
重要なのは、薬や機械に頼ったりしなくても、私たちの体は環境や体調の変化に対して、自ら一定に保とうとする働きがある、ということです。
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