ストックホルム症候群の意味とは?DVや虐待とも密接な関係が!?
「ストックホルム症候群」という言葉をご存知でしょうか。
元々は、「人質が強盗に対して親近感を抱く現象」を意味する言葉です。
ここから派生して、暴力や抑圧を受けている被害者が、加害者に対して親しみや友情を抱くことを指して、「ストックホルム症候群」と呼びます。
そこで今回は、「ストックホルム症候群」という用語の意味と、近年話題になっているDV(家庭内暴力)や虐待などとの関係についてご紹介していきます。
「ストックホルム」の由来は?
「ストックホルム症候群」という言葉の元になったのは…
1973年、スウェーデンの首都ストックホルムで起きた、「銀行強盗人質立てこもり事件」です。
人質が犯人をかばう
この事件では、人質が犯人に協力して警察に対抗する、というような非常に奇異な現象が見られました。
また、事件後も、人質は警察の取り調べに対し、強盗犯をかばうような態度を取っていました。
こうした、被害者が加害者に対して共感や親近感を得る現象を指して、「ストックホルム症候群」と呼びます。
ストックホルム症候群の二つの原因
ストックホルム症候群には二つの原因が考えられています。
「良い人だ」と思うようになる
一つ目は「強盗がときに人質に対して優しさを見せることがある」という理由。
つまり、人質が犯人から食料を分けてもらったり、トイレの許可を得たりしているうちに、犯人たちを「良い人だ」と思い込み始める…ということです。
運命共同体になる
ストックホルム症候群が起きるもう一つの理由は、閉鎖的な環境下で、人質と犯人とが「運命共同体」になっているためです。
この状況で犯人制圧のために特殊部隊が突入したら、犯人のみならず人質にも犠牲者出る可能性は極めて高いでしょう。
こうなると、人質が「できれば強行突破をやめてほしい」という心理を抱くのは、いわば当然のことなんです。
病気ではない
ストックホルム症候群は、「症候群」という言葉がついているために、「病気のようなもの」だと勘違いされがちです。
しかし、ストックホルム症候群とは、決して病気や疾患などではなく、「こういう状況になると人はこうなる」という、人間心理の「法則」に近いものです。
よく使う言葉?
ここまでをお読みになって…
「ストックホルム症候群の意味は分かった、でも『強盗と人質』なんて、普段の生活にはあんまり関係ないんじゃないの?」
と、お考えになるかもしれません。
しかし近年、この「ストックホルム症候群」という言葉が、ネット記事などを中心に使用頻度が上がっている傾向にあります。
この言葉がよく使われる場面は、主に二つあります。
DVとストックホルム症候群
一つ目は、DV(家庭内暴力)や児童虐待など、家庭内の問題に関する話題です。
例えば…
両親から、連日虐待を受けているはずの子供が、警察の取り調べに対して、両親をかばうなどのケース。
あるいは…
DVを受けている妻が、いざという時に警察や支援センターを追い出して、自ら夫をかばう…というようなケースです。
こうした現象も、「被害者が加害者をかばうケース」として、よく「ストックホルム症候群」の用語が使われることがあります。
つまり、ストックホルムで起きた銀行強盗人質立てこもり事件と同じように…
加害者(DV夫)から暴力や拘束を受けているはずの被害者(妻や子供)が、極限状況の中で加害者に対して共感や親近感を覚えるケースがある…ということです。
例えば…
散々激しい暴力を妻に加えたあと、何事もなかったかのように妻を愛する、というような男も世の中にはいますよね。
これにより、妻は、「本当は夫は良い人」だと思い込まされてしまいます。
こうした現象も、広義のストックホルム症候群と称されることがあります。
政治とストックホルム症候群
もう1つは、「政治」の場面です。
例えば、国民を散々欺いて、搾取し続けるような政策が行われていたとしても、国民は特に政治家を糾弾するでもなく、選挙では同じ政権がまた選ばれる…というケース。
これもいわば、加害者(政治家)の悪政に対して、被害者(国民)がマヒしてしまっている、という証しですよね。
そのため、こうした政治に関する話題でも、「ストックホルム症候群」の用語が使われるケースがある…ということです。
まとめ
いかがでしたか。
今回は、近年ニュースやネット記事などで、頻繁に使用される「ストックホルム症候群」という言葉の意味や使い方についてご紹介してきました。
ストックホルム症候群は、まるで「病名」のような響きですが、決して病名などではなく…
「特殊な閉鎖された環境においては、被害者が加害者に対し、共感や親近感、一体感などを抱くことがある」
という、人間心理の傾向を言い表したものです。
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