その解釈は違う!三猿の見ざる言わざる聞かざるの本来の意味と教え
日光東照宮の「三猿(さんざる・さんえん)」をご存知でしょうか。
行ったことがない人でも、「見ざる言わざる聞かざる」のフレーズは、一度は耳にしたことがありますよね。
でも実は、この「見ざる言わざる聞かざる」というフレーズは、世の中で結構誤解されて広まっているんです。
そこで今回は、「見ざる言わざる聞かざる」の本当の意味、そして、その教えが、育児や自己啓発など、人生の様々な場面にも応用ができる、ということについてご紹介していきます。
「見ざる言わざる聞かざる」の元ネタは?
これは、紀元前の中国の有名な思想家、孔子の言行録である『論語』にある言葉からの出典であると言われています。
『論語』の中にある言葉で、次のようなものがあります。
「礼節を欠くようなことを、見てはならない、言ってはならない、聞いてはならない、行なってはならない。」
そしてその後、中国でこの言葉が広く伝えられるようになり、我が国には、天台宗の僧を通じて伝わったとされています。
本当の意味は?
しかし我が国では、このフレーズが誤解して使われていることがよくあります。
「見ざる言わざる聞かざる」という言葉が、テレビドラマなどで使われるのは、次のような場面です。
ヒロインが、事件現場や、見てはいけないものを目撃してしまったときに、犯人から脅され、
「ええ、見ざる言わざる聞かざる。絶対に誰にも言いません。秘密にします!」というような場面です。
おそらくあなたも、一度はこういう場面をテレビで見たことがあるのではないでしょうか。
本来は「自己の修養」がテーマ
そのため日本では、「見ざる言わざる聞かざる」という言葉は、「秘密にする、迂闊なことは言わない」のような意味で広まってしまっているんです。
でも、これは誤解です。前項でご紹介したとおり、正しい意味は…
「自分の品格を落とすような、礼節を欠く内容のことを、見ない、言わない、聞かない」
ということですから、このフレーズはあくまでも、自己修養がテーマです。
いわば、人生の格言です。
「目撃情報は他言無用」のような、俗な意味ではなかったんですね。
人生の実際の場面にも応用してみよう
そこで、この「見ざる言わざる聞かざる」という格言を、人生の様々な場面にも、実際に応用してみましょう。
育児でも「見ざる言わざる聞かざる」は重要
これを育児に応用すると…
●「子供の教育上よくないもの」
●「子供の品性を落としてしまうようなもの」
●「子供に暴力や犯罪を誘発してしまうようなもの」
●「優しさや思いやりを欠くもの」
こうした事柄は、あなたの子供に見せない、言わせない、聞かせないのがよい、ということになります。
また、子供との関係だけでなく、その他の人間関係にも応用することができます。
たとえば、非常識で品性のカケラもないようなママ友との付き合いは、母子ともにマイナスしかありません。
そのため、そんなママ友のおかしな言動は、「見ない言わない聞かない」と決めて、付き合いを断ってしまうのがベターです。
【 ママ友から確実にフェードアウトする方法 】の記事も、ぜひ参考にしてみてください。
うつ状態ネガティブな思考に陥ったとき
また、うつ病を始め、自己嫌悪や自信喪失など、心の病で悩んでいる時にも、この三猿の教えは効果的です。
心を病んでいるときに、最も距離おかなければならないのは、あなたを否定する発言です。
そのため、次のような言動に対しては、「見ざる言わざる聞かざる」にしておく必要があります。
●あなたを否定・非難する言葉
●あなたの自信を失くすような消極的な発言
●あなたを支配しようとする言動
●うわべの優しさで新興宗教などに勧誘しようとする
…など、こういう振る舞いをする人に対しては、「見ざる言わざる聞かざる」で、距離を置くようにしなければなりません。
簡単に言ってしまえば、「あなたの話を聞いていると不幸になりそうだから、あっちへ行ってて!」というスタンスです。
また、不思議なもので、こうしたネガティブな人間関係を一掃すると、不思議とポジティブな人間関係に恵まれ始めるものです。
人生で悩んだときはぜひ、この三猿の教えを実践してみましょう!
また、「うつ状態」については、こちらの記事でもご紹介しています。
3匹の猿たちの正式名称は?
この3匹の猿は、「三猿」と書いて、「さんざる」または「さんえん」と読みます。
三猿の像は、横一列に並んで作られるのが一般的で、左から順に…
目を押さえた猿(見ざる)、口を押さえた猿(言わざる)、耳を押さえた猿(聞かざる)に対応しています。
本当は4匹いた?
また、本場中国などでは、この三猿は、3匹ではなく4匹いることがあります。
これは「四猿(しざる)」と言われ、最後の4匹目は、股間を押さえています。
つまり、みだらな行為をしない、ということです。
しかし日本においては、「四猿(しざる)」の発音が「死」を連想させて縁起が悪いこと、露骨な性描写であることなどから敬遠され、「三猿」が一般的になったと考えられます。
なぜサルなの?
「なぜ3匹の猿がモチーフに使われているのか」ということについては諸説あり、詳しいことはわかっていません。
一説によると、古代エジプトやインドなどでも、3匹の猿というモチーフは、元々、宗教画などで使われることがあり、
それがシルクロードを渡って中国・日本へも伝えられ、「見ざる言わざる聞かざる」のモチーフとなった、と言われています。
それらの経緯を経て、日本語ではたまたま「見ざる(見ない)」という言い回しと「猿」とが、言葉の上で似ていたために、
「見ざる言わざる聞かざる」が3匹の猿の像として定着したと考えられます。
三猿はどこで見られるの?
日本で最も有名な三猿の像と言えば、やはり日光の東照宮です。
そのため、本場の三猿を見ようと思うなら、日光東照宮一択、ということになりますが、
東照宮以外では、福岡県柳川市の日吉神社、あるいは大阪の国立民族学博物館などでも、三猿の像を見ることができます。
まとめ
いかがでしたか。
今回は、日光東照宮の最も有名なモニュメントの1つである、「三猿(さんざる)」について、ご紹介してきました。
一般には、「秘密にすること、他言無用」と誤解している人も多いのですが、本当の意味は、「自分の品性を落とすような事」を、見ない、言わない、聞かない、ということなんです。
これは、うつ病などの心の悩みや、また、育児や人間関係などの場面でも、大いに活用できる、古人のすばらしい知恵です。
あなたを否定し、幸せを奪うような人の振る舞いに対しては、「見ざる言わざる聞かざる」で対応していくようにしましょう!
Your Message