あだ名がいじめの原因?あだ名禁止令発動の広島の小学校に賛否両論
2018年春、広島県の小学校で「校則で正式にあだ名を禁止にした」というニュースが報道され、話題なりました。
このニュースは、TV番組のワイドショーなどでも広く取り上げられ、現在も賛否両論となっています。
そこで今回は、学校側による「あだ名禁止令」が妥当であるかどうか、そのメリットやデメリットなどについて考えてみましょう。
賛成派の主張は…
「子供のあだ名は禁止にすべきである」
つまり「禁止令賛成派」の主張としては、大きく2つあります。
・小中学校では、変なあだ名がいじめの原因になりやすい
・教師はクラス全員のあだ名まで把握できない為、全体で禁止しておく必要がある
以上の2点です。
あだ名がいじめの原因になる
「あだ名がいじめの原因になる」
これはおそらく、ほとんどの人が納得できるのではないでしょうか。
例えば、「のび太」なんていうあだ名はその際たるものです。
「のび太」というあだ名は、大抵の場合、気が弱かったり運動があまりできない子に対してつけられるケースがほとんどだろうと容易に想像がつきます。
そして、そういう子供が「のび太」と呼ばれ、からかわれることで、いじめを助長してしまう…。そういうケースが往々にしてあります。
そこで、今回の「あだ名禁止令」です。
つまり、「運動が苦手で、気が弱くてメガネをかけている外見」の子供がいたとしても、ネガティブなあだ名さえ付けられなければ、いじめを未然に防げるのではないか…
これが、「あだ名禁止令」が採用されるに至った最大の理由です。
実際のところ、いじめられっ子というのは、変なあだ名がついていることが多いので、この「あだ名禁止令」は十分妥当な措置だと言えるわけです。
反対派の主張は…
しかし、「あだ名はあった方がよい」という意見、つまり「禁止令反対派」の人もいます。
「子供時代のあだ名は、円滑なコミュニケーションに必須」だとの考えに基づくものですが、それも一理あるでしょう。
実際のところ、子供同士であれば、あだ名の方が「呼びやすい」のは間違いありません。
また、「個性的なあだ名がついていることで、友達ができやすくなる」というケースもありますから、あだ名はやはり一長一短だと言えます。
ネガティブなあだ名
また、「ネガティブなあだ名だからって、いじめられっ子とは限らない」という主張もあります。
例えば、上記の「のび太」の例で言うと…
この場合は、「のび太」というあだ名で、いじめられているわけではないのだから、あだ名を禁止する必要はない。
という主張です。
やっぱり禁止した方がいいかも…
でも、この意見は、賛成派の主張に比べると、はっきり言ってあまり説得力がありませんよね。
もちろん、「のび太」と呼ばれて慕われているクラスの人気者も探せばいるかもしれません。
でも、それはおそらくレアケースです。
一般的に言って、「のび太」という名前は「弱い子供」の代名詞として使われることがほとんどです。
ある子供を「のび太」と呼ぶことは、すなわち「気が弱い、いじめられっ子」というレッテルを張っているようなものです。
そう考えると、やはりこうしたネガティブなあだ名がいじめを誘発していると考えるのが妥当な気もします。
教師はあだ名を把握できない
あだ名を禁止すべきだというもう一つの理由は、「教師が生徒全員のあだ名を把握できない」からです。
例えば、ある学校でいじめがあったとします。
そして、そのいじめの原因が「あだ名」だった場合、クラスの担任が「そんなあだ名があったことは知らなかった」というケースが非常に多いんです。
この場合、もしも担任が「クラス全員のあだ名を把握」していたら、いじめは未然に防げていたかもしれません。
しかし、実際問題として「教師が生徒全員のあだ名を把握する」というのはやはり困難です。
また、仮に変なあだ名がついていたからといって、教師が「あだ名を変えなさい」と生徒に指示するというのも無理があります。
つまり、教師や学校は、子供のあだ名の把握や管理ができないのです。
それならいっそのこと「あだ名そのものを全面的に禁止にしてしまおう」というわけです。
「君付け・さん付け」をルール化する
以上の経緯から、広島の小学校では…
あだ名を全面的に禁止し、子供が友達を呼ぶときは「君付け・さん付け」を義務化しています。
今後もしも、この小学校で実際に「いじめが減った」というデータが出れば、「あだ名禁止令」の有効性も見直されることになるでしょう。
今後の動向が非常に気になるところです。
まとめ
いかがでしたか。
あだ名には、良い面もあれば悪い面もあります。
しかし、そのあだ名が原因でいじめが起こり、取り返しのつかないような事態になる、という危険性を考えた場合…
やはり、「全面的に禁止にする」という広島の小学校の措置は、評価に値すると言えるのかもしれません。
Your Message